第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

栄養

[O72] 一般演題・口演72
栄養01

2019年3月2日(土) 08:45 〜 09:35 第9会場 (国立京都国際会館2F Room B-2)

座長:大槻 穣治(東京慈恵会医科大学附属第三病院救急部)

[O72-1] 重症救急患者の栄養評価の重要性

片岡 祐一, 浅利 靖 (北里大学 医学部 救命救急医学)

【背景】近年の救急・集中治療領域の栄養療法ガイドラインでは、重症患者の栄養評価の指標やマーカーは有用性がないとされている。しかし、臨床現場では栄養評価無しで有効な栄養管理を施行することはできない。【目的】長期ICU管理を要する重症救急患者の栄養評価の重要性を検討する。【方法】2014年1月~2018年6月の期間に当院救命救急センターICUに14日間以上入院した3次救急患者のうち、人工呼吸管理下で間接熱量測定を入院後7日以内(1期)と8-14日以内(2期)に行いデータ収集可能であった142例(脳血管疾患49、外傷40、腹部外科疾患15、肺炎・呼吸不全12、その他26)を対象とした。生存群(S群)と死亡群(D群、在院死亡)に分け、性別、年齢、BMI、APACHE-IIスコア、来院時CONUTスコア、入院時SGA項目数、間接熱量測定値(kcal/kg)、体重当り投与熱量(kcal/kg/day)、体重当り投与蛋白量(g/kg/day)、血液検査データ(アルブミン、プレアルブミン、総コレステロール、CRP)について、診療録をもとに後ろ向きに検討した。投与熱量、投与蛋白量は入院7日目、10日目、14日目、血液検査データは1期、2期、15-21日以内(3期)に調査した。統計学的方法は Mann-Whitney Uテスト、χ2検定を用いた。【結果】142例の平均値は、年齢62歳、BMI23.4、APACHE-IIスコア26.5。S群120例、D群22例。S群vs.D群の比較では、BMI23.8±5.2 vs.20.5±3.9(p<0.01)、来院時CONUTスコア3±4 vs.6±4(p<0.01)、SGA項目数1±1 vs.2±2(p<0.05)、間接熱量測定値1期25.1±6.6 vs. 26.2±6.2 kcal/kg(n.s.)、2期27.9±6.6 vs. 29.5±4.8 kcal/kg(n.s.)。APACHE-IIスコア、各期の投与熱量・投与蛋白量に有意差はなかった。血液検査データは、アルブミンはD群が全期で低値(p<0.01)、総コレステロール、プレアルブミンは2期、3期でD群が有意に低値(p<0.05)、CRPは3期のみD群が有意に高値であった(p<0.01)。【結論】入院前の栄養状態の指標としての来院時CONUTスコア、入院時BMI、SGAは予後を反映する。また、入院後の栄養データの悪化も予後に影響する。重症救急患者の入院時および入院後の栄養評価の重要性が示唆された。