[O72-5] 超急性期における消化態栄養の検討
【背景】現在の集中治療における栄養に関しては投与経路および早期経管開始以外には各国のガイドラインでも意見が分かれている。当院救命ICUでは、経腸栄養投与方法が統一されておらず、経腸栄養投与患者の栄養・排便管理に難渋していたため、平成26年4月に救命ICU内に独自のNSTを発足し重症患者の栄養管理に努めてきた。平成27年3月に消化態栄養剤を使用したプロトコールに改訂した。消化態栄養は消化の必要がなく,吸収が早く,機能が低下した腸管でも吸収が容易であること。また、蛋白質でないので抗原性が少ないこと,そして蛋白質が窒素源である半消化態栄養剤にみられるカード化現象が生じないことの利点があり重症患者に対しての早期経腸栄養に適している。【目的】消化態栄養剤とそれ以外の経管栄養では栄養学的指標に差はあるかを調べた。【方法】対象は平成26年4月から平成30年5月までに当院救命ICUに入床し24時間以内に経口摂取が出来ない患者とした。患者をペプタメン群(110例)と非ペプタメン群(126例)の2群間に分けて両群間を栄養学的指標としてCONUTおよびRTP(Rapid turnover protein)で比較した。【結果】両群間で年齢(ぺプタメン群vs非ぺプタメン群74vs74)、SOFA(8vs7)、APACH-2(22vs24)で-差はなかった。CONUTで評価すると来院時に既に中等症以上の栄養障害(5vs5)がありRTPで評価すると中央値は全て正常下限を下回っていた。すなわち入院当日より栄養障害をきたしていることがわかった。入院24時間以内の早期経腸栄養を行ったがPre albumin(15.2→10.6vs14.5→9.3)やretinol結合タンパク(2.2→1.8vs2.3→1.7)、トランスフェリン(178→126vs175→131)と各種栄養学的指標の悪化傾向は食い止められなかった。【結論】当院救命救急センターに搬送となった患者に対して消化態による早期経腸栄養を行ったが両群間に差はなかった。