[O73-3] 体外循環を用いた心臓大血管手術後における早期経腸・経口栄養導入の検討
【背景】術後栄養摂取不良は合併症・死亡率と密接に関連し、近年体外循環を用いた心臓大血管手術後の早期栄養開始が注目されている。我々はこの領域において経験的に早期経腸・経口栄養導入の重要性を認識し実践している。(図)【目的】体外循環を用いた心臓大血管手術後における早期経腸・経口栄養導入の評価と問題点の検討。【対象と方法】2016年1月から2018年7月に当院にて体外循環下手術施行した341例の診療記録を閲覧した後ろ向き研究。【結果】平均年齢70歳で30日死亡率を示すEuroScore IIは6.49であったが30日以内死亡例はなく院内死亡率は3.5%(12例)であった。平均術後3.4日で経腸または経口栄養を開始した。“最初から経口摂取可能であった”または“経腸栄養確立前に経口摂取移行した”群(A群)は205例、うち死亡例は1例のみ(0.5%)であった。一方“経腸栄養確立した”群(B群136例)は年齢(75歳vs 66歳)・EuroScore II (9.53 vs 4.47)ともに有意にA群より高かった。院内死亡率(8.1 %)はEuroScore IIを下回った。B群の死亡例は経口摂取できなかった症例の比率が非常に高かった(11例中10例)。B群で経腸栄養中止がのべ306回あり、その理由として循環関連は稀で、呼吸関連は死亡・生存例間でその率に差がなかったが、消化管出血・イレウスによる中止率が死亡例で有意に高かった。(37.8% vs 11.6%)【結語】早期経腸・経口栄養の実践で重症症例の救命に成功し軽症例もより安全に管理が施行できた。循環・呼吸の問題は対処可能であるが、消化器系の問題への対応に課題が残った。