第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

栄養

[O73] 一般演題・口演73
栄養02

Sat. Mar 2, 2019 9:35 AM - 10:25 AM 第9会場 (国立京都国際会館2F Room B-2)

座長:槇田 徹次(佐世保市総合医療センター)

[O73-5] 小児の肝移植術後患者における銅・亜鉛欠乏の実態

渡辺 太郎1, 井手 健太郎1, 西村 奈穂1, 福田 晃也2, 阪本 靖介2, 中川 聡1 (1.国立成育医療研究センター 集中治療科, 2.国立成育医療研究センター 臓器移植センター)

【背景】肝移植術後は5日間程度の絶食管理をし、腹水流出による喪失もあり微量元素を含む栄養素の欠乏が懸念されるが、実態は不明である。また、微量元素の銅と亜鉛は免疫機能に関与すると報告されている。【目的】小児肝移植後の銅・亜鉛欠乏の実態を調査し、術後感染症との関連を評価すること。【対象】2017年1月から2018年8月までに当院で肝移植術を受けた16歳未満の症例。【方法】肝移植術後5日目に血清銅(正常値≧68μg/dL)・亜鉛(正常値≧65μg/dL)を測定し、ICU入室中の術後感染症との関連を評価した。【結果】対象は75例あり、月齢中央値は10ヶ月(最小-最大:1-179)、現病は胆道閉鎖症32例(42.7%)が最多であった。64例(85.3%)は血清銅が正常下限未満で、37例(49.3%)は血清亜鉛が正常下限未満であった。術後感染症は24例(腹腔内感染9例、敗血症7例、尿路感染4例、創部感染2例、肺炎1例、中心静脈カテーテル感染1例)に生じた。術後感染の有無で微量元素を比較すると、血清銅に関して感染あり群の中央値37.5μg/dL(19 - 92)は、感染なし群53.0μg/dL(13 - 111)と比較して、低値の傾向があった(p=0.08)。血清亜鉛は感染の有無で差はなかった。【結語】肝移植後5日目の血清銅・亜鉛は低値である症例が多かった。術後感染症を有した症例で、肝移植術後5日目の血清銅が低値の傾向があった。肝移植術後の感染症は種々の要素が影響する複雑な病態であるが、血清銅低値が易感染性に与える影響を検討する必要がある。