[O74-4] HCUにおける禁食期間短縮のための大腸癌術後GFO早期摂取の導入効果
<背景>各病院においては管理栄養士を中心とした多職種で構成されたNST(Nutrition Support Team)の活動により、治療中の不必要な禁食期間の短縮が重要であることが啓発されてきている。また、ERASの導入を行っている病院では、術後の早期のエレンタール配合内用剤の内服などにより以前に比べ、定期消化管手術の周術期の禁食期間も著しく短縮してきている。当院では、2017年4月より、形式的ではない、NSTの本格活動が始まった。その活動の一つとして、HCUで入院管理される外科の患者に対してGFO療法を導入した。<目的>小樽市は全国的に見ても高齢者の割合が非常に高く、そのため、手術の患者は高齢者が非常に多くなっている。その中には、術後の嚥下障害をきたす症例も存在している。そのため、多量の液体の傾向摂取は早期から開始するのが困難でリスクが高いこともある。そのため、経口摂取量が少量で済み、とろみをつけることも簡易であり、絶食の回避も腸粘膜の萎縮の予防やBacterial translocationの防止にも有用とされているGFO(グルタミン・ファイバー・オリゴ糖、以下GFO)の術後早期摂取により、HCUでの禁食期間短縮を目的とした。<方法>GFO療法を開始していない2016年4月から2017年3月の期間のHCUに入院した定期の大腸癌手術患者23人と、GFO療法を開始した2017年4月から2018年3月の期間のHCUに入院した定期の大腸癌手術の患者33人を比較検討した。<結果>GFOを導入していない期間の経口栄養開始(ただしこの期間は食事の開始)は術後4.30±2.03日であり、GFOを早期に摂取開始した期間の経口栄養開始は術後1日であった。GFOを早期に開始した期間の食事の開始は術後7.82±3.09日であった。GFOの主な副作用である下痢は2症例のみであった。GFO摂取を何らかの理由で中止し別の経口栄養に切り替えた症例は副作用の下痢が発症した2症例を含め3症例であった。GFOだけでなく経口栄養そのものを中止した症例は腸閉塞を発症した1症例のみであった。<結論>2017年4月からのNSTの本格稼働により、HCUに入院の大腸癌術後の患者に対し、術後の早期にGFO療法を導入し、簡易に、禁食期間を短縮できた。