[O76-1] 外傷におけるBase ExcessとFibrinogen値の関係についての検討
【背景】Damage Control Resuscitationの普及など外傷の凝固異常に対する早期介入の必要性が叫ばれ、血液凝固分析装置を用いたポイントオブケアも行われるようになっている。しかし、保険適応はなく市中病院での活用は困難である。その中、Fibrinogen (Fib)値の改善が良好なものはBase Excess (BE)の改善も良かった外傷症例を多く経験し、BEが凝固能評価に活用できないかと考えた。
【目的】BEの変化値からFib値の改善が予想できるのではないかと仮定し、救急外来(ER)搬入時、集中治療室(ICU)入室時、翌日のBEとFibの変化量を比較し、相関関係があるかを検討する。
【方法】2017年4月から2018年7月までの16ヶ月の期間で、外傷で入院しICU入室までに輸血を行った63例のうち、検査の欠損などがあった18例を除いた45例を対象とし、カルテによる後ろ向きの観察研究を行った。それぞれの症例のER搬入時とICU入室時のBEの変化量(ΔBE1)およびFibの変化量(ΔFib1)、ER搬入時と翌日のBEの変化量(ΔBE2)およびFibの変化量(ΔFib2)を検討の項目とした。
【結果】ΔBE1とΔFib1はPearsonの相関係数0.520(p<0.01)でかなり相関があるといえる結果であった。これに対し、ΔBE2とΔFib2はPearson の相関係数0.261(p=0.10)と相関があるとはいえない結果であった。回帰分析を行うとΔFib1=-21.338+6.011×ΔBE1の回帰式が導かれたが、R=0.52、R2乗=0.27であり、予測精度には難があると言わざるを得ない結果であった。以上から早期のBEの変化量とFibの変化量は相関しており、今後実臨床でどのように応用していくかが、今後の課題である。
【結語】外傷において早期のBEの変化量とFibの変化量は相関関係にあり、凝固能評価に活用できる可能性がある。
【目的】BEの変化値からFib値の改善が予想できるのではないかと仮定し、救急外来(ER)搬入時、集中治療室(ICU)入室時、翌日のBEとFibの変化量を比較し、相関関係があるかを検討する。
【方法】2017年4月から2018年7月までの16ヶ月の期間で、外傷で入院しICU入室までに輸血を行った63例のうち、検査の欠損などがあった18例を除いた45例を対象とし、カルテによる後ろ向きの観察研究を行った。それぞれの症例のER搬入時とICU入室時のBEの変化量(ΔBE1)およびFibの変化量(ΔFib1)、ER搬入時と翌日のBEの変化量(ΔBE2)およびFibの変化量(ΔFib2)を検討の項目とした。
【結果】ΔBE1とΔFib1はPearsonの相関係数0.520(p<0.01)でかなり相関があるといえる結果であった。これに対し、ΔBE2とΔFib2はPearson の相関係数0.261(p=0.10)と相関があるとはいえない結果であった。回帰分析を行うとΔFib1=-21.338+6.011×ΔBE1の回帰式が導かれたが、R=0.52、R2乗=0.27であり、予測精度には難があると言わざるを得ない結果であった。以上から早期のBEの変化量とFibの変化量は相関しており、今後実臨床でどのように応用していくかが、今後の課題である。
【結語】外傷において早期のBEの変化量とFibの変化量は相関関係にあり、凝固能評価に活用できる可能性がある。