[O78-2] 当院PICUにおける小児膵外傷3例の治療経験
【背景】 重症小児外傷の多くは頭部外傷で腹部外傷の頻度は少ないが その中でも膵外傷は稀で診断、標準的治療方法について定まったものはない【目的】 平成24年5月(当院PICU開設)~平成30年8月の期間に当院PICU に入室した小児膵外傷について臨床経過を明らかにする【臨床経過】 入室全2279例中外傷による入室は247例(10.8%)でうち膵外傷は3例(外傷例の1.2%)であった 症例1:3歳女児 三輪車運転中マイクロバスの前輪に巻き込まれ受傷 意識障害あり 近医で気管挿管後当院搬送 胸腹部造影CTで両側肺挫傷、肝・脾、右腎損傷あり いずれも保存的加療の方針でバイタル安定し翌日抜管 受傷3日目血液検査でAmy 上昇ありフォローCTで膵体尾部断裂断裂疑う所見ならびに周囲の液体貯留あり 全身麻酔下でERCP施行し主膵管損傷あり開腹術に移行 膵尾部完全断裂あり 脾臓および脾動静脈温存の膵体尾部切除施行(AAST Grade3)その後状態安定し 術後4日目退室 術後7日目にドレーン抜去し受傷20日目軽快退院 症例2:11歳女児 自転車運転中に転倒しハンドルで腹部強打し受傷 腹痛あり 血液検査でAmy上昇あり 腹部造影CTで膵尾部に造影不良いきあり 造影エコー で膵断裂示唆する所見なく保存的加療の方針。受傷翌日MRCP施行し主膵管拡張な く膵炎所見のみ しかし腹部所見が悪化しSIRSとなり膵液漏疑いで受傷4日目に 手術の方針。術中エコーで主膵管損傷ないが膵体部に壊死性変化あり、脾臓および 脾動静脈温存の膵体部切除施行(AAST Grade2) その後状態安定し術後7日目退室 術後27日目ドレーン抜去し受傷41日目軽快退院 症例3:8歳男児 雲梯で遊んでいて腹部を強打し受傷 腹痛あり血液検査でAmy 上昇あり 腹部造影CTで十二指腸損傷ならびに膵頭部断裂疑う所見あり同日手術の 方針 術中所見で断裂疑う所見ありERCP施行し乳頭部からすぐの部分に完全断裂 あり、一期的に膵頭部切除、膵尾部空腸吻合、十二指腸単閉鎖等施行 (AAST Grade 5)状態安定し術後4日目退室 受傷41日目退院 【結論】 小児膵損傷は保存的加療の報告も多いが、成人膵外傷の治療戦略と同様に腹部CTやERCPによる主膵管損傷含めた評価や早期の外科的介入を行うことで 良好な経過が得られ、入院期間も短縮していた