[O79-1] Hybrid ER CTにおけるIVC径を用いたMTの予測
【背景】外傷初期診療において大量輸血(massive transfusion:MT)の必要性を早期に予測することは輸血戦略を構築する上で重要である。MTの必要性を予測しうる因子として受傷機転、エコー検査、バイタルサインなどが有用であるが、循環血漿量の減少から予測した報告はない。当院ではHybrid ERにより重症外傷診療において迅速にCTを撮影することが可能である。受傷後早期のCTから得られるIVC径からMTの必要性を予測しうるかを明らかにすることを目的とした。【方法】2013年4月から2017年12月までに当センターに直接搬入されたISSスコア16以上の重症外傷症例を対象に単施設後方視的観察研究を行った。除外項目は、18歳未満、搬入後24時間以内の死亡または転院、基礎疾患による重症貧血を呈していた症例とした。来院後24時間以内にRCC10単位以上輸血されたものをMTと定義した。搬入後最初に撮影したCTの左腎静脈合流部レベルでのIVCの短径をIVC径と定義した。ショック指数(Shock Index:SI)、ABCスコア、IVC径と比較検討した。MTに対するROC曲線を作成し、AUROCを比較した。【結果】対象重症患者401名であった(MT:11.6%)。MTの必要性を予測するための各スコアのAUROCはSI(AUROC = 0.787)、ABCスコア(AUROC = 0.721)、IVC径(AUROC = 0.862)となった。各スコアと比較してIVC径は優れた予測能を有していた。【結論】重症外傷診療におけるHybrid ERでの迅速なCT撮影は、IVCの短径を評価することで、簡便でかつ迅速にMTの精度の高い予測が可能である。