[O79-2] 重症外傷の予後は血液型と関連しない!
【はじめに】ABO式血液型はさまざまな疾患の発症との関連や血栓形成や出血に関しても関連があるのではないとの報告がされている。特にO型は出血のリスクがあり、重症外傷においては失血死との関連も報告されている。輸血を要するような出血をしている重症外傷の予後と血液型が関連しているのかを調査した。【対象と方法】2008年から2017年までに当院救命救急センターに搬送された外傷症例を対象に後ろ向き観察研究を行った。24時間以内に赤血球製剤を1単位以上輸血された外傷症例を対象とし、15歳未満の小児、院外心停止で外来死亡症例は除外した。患者背景因子として年齢、性別、受傷機転、来院時バイタルサイン、ISS、RTS、Ps、血液検査結果(Hb、フィブリノゲン、PT-INR、乳酸値)、輸血開始までの時間、止血術施行の有無を調査した。血液型別に群分けし、生存退院、24時間までの輸血量を比較検討した。【結果】期間中に6972人の外傷患者が搬送され、701人が対象となった。年齢63.4歳、男性472人(67.3%)、受傷機転は鈍的外傷が656人(93.6%)、ISS 24.2、RTS 6.39、Ps0.725であった。24時間以内の輸血量RBC11.5単位、FFP/RBC比0.78であり、24時間死亡70人(10.0%) 、30日死亡143人(20.4%) 、出血死59人8.4%)であった。血液型別の死亡率は、24時間ではO型19人(8.7%)、A型29人(10.9%)、B型15人(9.6%)、AB型7人(11.3%)で、30日死亡率は46人(21.1%)、55人(20.8%)、31人(19.9%)、11人(17.7%)でそれぞれ有意差はなかった。24時間までのRBC輸血量は、12.0、11.0、11.1、12.9と有意差はなかった。【結語】今回の検討では、輸血を要する重症外傷の予後はABO型血液型とは関連は見いだせなかった。