第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

外傷・熱傷 研究

[O79] 一般演題・口演79
外傷・熱傷 研究04

2019年3月2日(土) 16:00 〜 16:40 第9会場 (国立京都国際会館2F Room B-2)

座長:永嶋 太(佐賀大学医学部附属病院 高度救命救急センター)

[O79-3] 重症急性硬膜下血腫症例に対する早期気管挿管と予後の検討

山田 哲久1, 名取 良弘2, 甲斐 康稔2, 森 恩2 (1.飯塚病院 救急部, 2.飯塚病院 脳神経外科)

【背景】外傷初期診療では二次性脳損傷の軽減のためにGCS8以下の症例では気管挿管を含めた確実な気動確保が推奨されている。GCS8以下の重症急性硬膜下血腫症例は、一次性脳損傷が中心である。気管挿管を行い二次脳損傷を軽減することで予後改善につながるかどうか検討した。
【目的】GCS8以下の重症急性硬膜下血腫症例で、来院1時間以内の気管挿管で二次性脳損傷を軽減し退院時転帰の改善に影響するか検討した。
【方法】2008年~2017年に当院脳神経外科で入院加療した急性硬膜下血腫症例は788例であった。脳挫傷、急性硬膜外血腫、外傷性くも膜下出血を合併する症例も含めた。その中で、来院時意識レベルGCS8以下で積極的な治療を行った126例を対象とした。対象症例を来院1時間以内に気管挿管した症例(挿管群)と気管挿管しなかった症例(非挿管群)に分けて年齢、性別、抗血栓療法の有無、元々のADL、既往歴(高血圧症、糖尿病、肝疾患、腎機能、心疾患、脳卒中、頭部外傷、脳外科手術)、来院時瞳孔所見、来院時CTでの血腫幅・正中線偏位・血腫吸収値、急性期手術有無、退院時転帰に関して比較した。
【結果】挿管群36例、非挿管群は90例であった。挿管群では、年齢が若く、糖尿病、脳卒中の既往が少なく、両側瞳孔散大が多かった。非挿管群では、元々のADLが悪かった。
【結論】年齢が若く、元々のADLが自立しており、両側瞳孔散大症例に気管挿管を実施していた。糖尿病、脳卒中の既往が挿管群で少なかったのは年齢が若いことが影響していると考えらえられた。重篤であるが若い症例に来院1時間以内に気管挿管していたが退院時転帰の改善はみられていなかった。患者背景にバイアスが生じているが、重症急性硬膜下血腫は、二次性脳損傷の軽減に努めても、一次性脳損傷の程度で退院時転帰が左右されると考えられた。