第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

呼吸 臨床研究

[O8] 一般演題・口演8
呼吸 臨床研究

Fri. Mar 1, 2019 10:00 AM - 10:50 AM 第7会場 (国立京都国際会館1F Room E)

座長:西澤 英雄(横浜労災病院 中央集中治療部)

[O8-1] 先行する病態が不明なARDS“類似”患者の予後は不良である

京 道人, 大下 慎一郎, 木田 佳子, 太田 浩平, 細川 康二, 志馬 伸朗 (広島大学大学院 救急集中治療医学)

【背景】背景急性呼吸促迫症候群(ARDS, acute respiratory distress syndrome)は低酸素血症及び両側性肺浸潤影を認める症候群であり,何らかの先行病態が存在する.ARDSの治療には,全身管理及び呼吸管理と共に,先行病態の治療が重要であるため,先行病態の精査が重要である.そのため,当施設では先行病態特定のためのプロトコルに則り検査を行なっている.しかし,先行病態の確定診断に至らないARDS"類似"症例が一定数存在する.これら患者の予後について十分な研究はされていない.【目的】先行病態が特定に至らないARDS"類似"症例の予後について,先行病態が特定されたARDS症例と比較検討すること.【方法】単施設症例対照観察研究.2016年3月から2018年5月までに当院救命センター・ICUに48時間以上在室した,18歳以上のARDSまたはARDS"類似"患者を対象とした.ARDS診断基準はBerlin定義に従った. ARDS"類似"症例の定義は,先行病態以外はBerlin定義に従った.先行病態の有無は,プロトコルに則り,医療面接,画像検査及び血清学的検査、もしくは気管支肺胞洗浄検査を含む微生物培養及び遺伝子検査によって評価した.主要評価項目はICU死亡とした.【結果】研究期間中に37名のARDS患者と,13名のARDS"類似"患者が含まれた.ARDSおよびARDS"類似"患者群間では,年齢66 [50-74]歳対67 [62-75]歳, SOFA score 11 [9-13]対11 [10-13], APACHEII score 29 [22-33]対28 [25-32]であり,有意差は認めなかった.ICU死亡率は, ARDS"類似"患者においてARDS患者群と比較し有意に高かった(46% vs 14%, p = 0.02).APACHEIIで調整した多変量解析でも,先行する病態が不明であることは ICU死亡の独立した危険因子であった(odds ratio, 6.19; 95% confidence intervals, 1.37 - 27.94; p = 0.018).【結論】先行病態が不明なARDS"類似"患者は、典型的ARDS患者に比べて予後が不良である.