第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

呼吸 臨床研究

[O8] 一般演題・口演8
呼吸 臨床研究

2019年3月1日(金) 10:00 〜 10:50 第7会場 (国立京都国際会館1F Room E)

座長:西澤 英雄(横浜労災病院 中央集中治療部)

[O8-4] 急性呼吸不全に対してVV ECMOを導入した患者の予後と今後の課題

豊田 幸樹年, 天野 杏李, 矢島 慶太郎, 山田 真生, 中道 嘉, 古郡 慎太郎, 山崎 元靖 (済生会横浜市東部病院 救命救急センター)

【背景】VV ECMOは急性呼吸不全に対する補助療法として有用性が報告されている。しかしECMOは侵襲的な臓器補助療法であり患者に対する身体的・精神的負担もかかる。また、高額な機器であり医療経済的にも容易に行えるものでもない。そのため適切な患者に使用する必要がある。【目的】現状の当施設でのVV ECMO導入に至った患者の使用状況や転帰を把握することにより適切な導入・管理の指針を考えることを目的とする。【方法】2010年4月1日~2018年3月31日に当院ICUで収容した患者のうちVV ECMO導入に至った患者29例を対象に後方視的に検討を行った。ECMO導入基準は可逆的と考えられる肺の疾患で、重篤な低酸素血症(15-20cmH2OのPEEPを付加してもP/F<100)、PH<7.20となるようなコントロール困難な酸血症を伴う高炭酸ガス血症、通常呼吸器管理を継続しても35cmH2Oを超えるプラトー圧に達するような状態とした。【結果】VV ECMO導入症例の内訳は重症肺炎7例、ARDS(敗血症)11例、間質性肺炎5例、外傷3例、中毒1例、気胸1例、肺胞出血1例であった。全症例のうちVV ECMO離脱症例は17例(58.6%)、28日院内死亡例は17例(58.6%)であった。VV ECMO離脱群と非離脱群の2群間で年齢、性別、APACHE II score、Murray score、導入前P/F、導入前PH、に差はなかった。VV ECMO使用期間の中央値は11[7-15]日であった。ECMO関連の合併症は血栓形成1例、出血6例で認めた。死因は多臓器不全7例、感染6例、脳出血2例、肺塞栓1例、致死的不整脈1例であった。【結語】当院でVV ECMO導入となった患者の死亡率は過去の報告と比較しても良好な治療成績であるとはいえなかった。原疾患の管理が困難な症例以外では感染症の合併による死因が多く、ECMO管理を継続するうえで特に2次感染を起こさないように対策していく必要があると考えられた。