[O80-1] 末梢挿入型静脈カテーテルの先端が挿入翌日に内頸静脈に迷入した1例
【背景】末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC)は、中心静脈穿刺に比べ致死的合併症の発生や感染症が少ない利点から、臨床現場に広く普及している。欠点として静脈血栓や穿刺時の神経損傷がある。また挿入時に上大静脈以外への静脈迷入も起こりえるが、超音波ガイド下や透視下で行うことで対応可能となっている。カテーテルの先端位置に関しては、ガイドラインにて、「上大静脈の下側3分の1から上大静脈と右心房との接合部」となっており、不整脈などの合併症を考慮して右房内には留置せず、気管分岐部周囲に留置することが多い。PICCは上肢の動きによりカテーテルの先端が移動しやすいことは報告されており、挿入時に適切と思われる位置に留置しても状況によっては先端の位置が変わる可能性がある。今回、PICC挿入後の胸部X線で上大静脈の下側3分の1にカテーテルの先端を確認したにもかかわらず、翌日の胸部X線でカテーテル先端が右内頚静脈へ迷入していた症例を経験したので報告する。
【臨床経過】症例は73歳男性、身長175cm、体重68kg。意識障害で救急搬送となり、左小脳出血および脳室穿破に対して緊急内視鏡下血腫除去術を施行した。術後も意識障害が遷延しており、人工呼吸管理を継続した。術前より血圧コントロール目的でニカルジピンを末梢静脈から持続投与していたが、高容量による静脈炎を併発したため、術後4日目にPICCにて管理する方針とした。患者の右上肢を外転外旋位とし、エコーガイド下で右上腕部尺側皮静脈から穿刺し、カテーテル(メディコン社 パワーPICC)を40cm挿入した。挿入後の胸部X線にて気管分岐部下側1cmの位置にあることを確認した。しかし、翌日の胸部X線にて右内頸静脈にカテーテル先端が迷入していたため抜去した。抜去したカテーテルに特に異常は認めなかった。
【結論】本症例においてPICCカテーテル先端が挿入の翌日に右内頸静脈内に移動した明確な原因は不明である。今後、PICCを挿入した場合は、数日後でもカテーテルの位置異常が起こり得ることを認識しておく必要がある。
【臨床経過】症例は73歳男性、身長175cm、体重68kg。意識障害で救急搬送となり、左小脳出血および脳室穿破に対して緊急内視鏡下血腫除去術を施行した。術後も意識障害が遷延しており、人工呼吸管理を継続した。術前より血圧コントロール目的でニカルジピンを末梢静脈から持続投与していたが、高容量による静脈炎を併発したため、術後4日目にPICCにて管理する方針とした。患者の右上肢を外転外旋位とし、エコーガイド下で右上腕部尺側皮静脈から穿刺し、カテーテル(メディコン社 パワーPICC)を40cm挿入した。挿入後の胸部X線にて気管分岐部下側1cmの位置にあることを確認した。しかし、翌日の胸部X線にて右内頸静脈にカテーテル先端が迷入していたため抜去した。抜去したカテーテルに特に異常は認めなかった。
【結論】本症例においてPICCカテーテル先端が挿入の翌日に右内頸静脈内に移動した明確な原因は不明である。今後、PICCを挿入した場合は、数日後でもカテーテルの位置異常が起こり得ることを認識しておく必要がある。