[O80-4] 女性小児集中治療医におけるシフト制勤務のメリットーマミートラックをつくらない勤務体制ー
【背景】救急分野におけるシフト制勤務に関する報告は散見されるが、集中治療分野、特に小児集中治療分野におけるシフト制勤務によるワークライフバランスの報告はない。2017年の日本医師会のアンケートでは、女性医師が時短勤務、非常勤勤務を選んだ理由として30歳代では育児が53%、さらに40歳代では育児が75%と増加傾向にあることを示した。医師として勤務しても時短勤務や外来専従など限られた内容の仕事となり、キャリア形成をしたくてもできない現状がみられる。このような限定的な状況下の勤務内容でキャリア形成困難となる状態はマミートラックと呼ばれる。当院集中治療科は、開設当初より変則2交代のシフト制勤務としている。シフト制勤務により、時短勤務としなくとも見通しの経つ時間での勤務終了、夜間の呼び出しがない、勤務希望により夜勤日や休日を指定できるという勤務形態を実現できている。この勤務体制により、マミートラックをつくらず、同僚と同じ勤務時間、勤務内容でキャリア形成できている現状を報告したい。【勤務形態】医師33名(2017年度)。日勤8時間、夜勤16時間の変則2交代制勤務。日勤医師数は8名(管理医2名)、夜勤医師数5名(管理医1名)。病床数は集中治療室、準集中治療室合わせて34床。主治医制は設けず、日毎に担当医を割り当て、全員で患者の情報共有を行いながら診療にあたっている。【女性医師の実態】30代女性医師。2児の母親であり、夫は大学院生かつ看護師。両実家は遠方で援助が望めないため、平日は幼稚園の延長保育およびファミリーサポートセンター、夜間は院内保育園などの社会的資源を活用しての育児を行っている。平均勤務時間は月180時間で同僚と同じ勤務時間数である。月、水、金の院内夜間保育の実施日に合わせて夜勤を行っている。【結論】シフト制勤務は、マミートラックを選択せずに、子育て中の医師に配慮しながら、専門性をもった医師としての勤務を継続することができる。さらに言えば、性別に関わらず、「一定時間での勤務終了、夜間の呼び出しなし、夜勤日や休日を希望可」という勤務形態は、医師の「働き方」としてあるべきものの一つと思われる。