第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

医療事故訴訟・医療安全

[O80] 一般演題・口演80
医療事故訴訟・医療安全01

2019年3月2日(土) 16:40 〜 17:30 第9会場 (国立京都国際会館2F Room B-2)

座長:成松 英智(北海道公立大学法人札幌医科大学救急医学講座)

[O80-5] 当院ERで挿入された胸腔ドレーンの検討 「若手医師の挿入した胸腔ドレーンは迷入しやすいか?」

塩島 裕樹, 白川 和宏, 井上 聡, 金尾 邦生, 齋藤 豊, 田熊 清継 (川崎市立川崎病院)

【背景】当院ERでは初期研修医・後期研修医・救急科スタッフなどの経験年数が異なる様々な医師が胸腔ドレーンを挿入する。時にドレーンの迷入を経験するが、若手医師が行うと迷入が多いのか、という臨床的疑問を持ち検討した。【目的】経験年数が少ない医師が胸腔ドレーンを挿入すると迷入が多い、と仮説を立て検討した【方法】研究デザインは後ろ向き観察研究。対象患者は2011年8月から2017年12月までに当院救急外来で胸腔ドレーンを挿入された患者。主要評価アウトカムは胸腔ドレーンの迷入率とした。迷入は皮下挿入、葉間挿入、ブラ・肺への誤穿刺とした。迷入は挿入後のレントゲン・CTより判断した。迷入率を初期研修医群、後期研修医群(医師3-4年目)、救急科スタッフ群(医師5年目以上)の3群に分類し検討した。また患者背景(重症度、病因、挿入部位、事前CTの有無など)について迷入率と関連のある因子について層別化解析を行った。統計解析はカイ2乗検定を用いた。【結果】総数212例(男175例,女37例)。年齢53.3歳(±22.6)。重症度は1次(徒歩)32例、2次(ホットライン)83例、3次(ホットライン)97例。病因は外因性107例、内因性105例。ドレーン挿入前の事前CT有りは105例、無しは107例。ドレーン挿入部位は側胸部187例、前胸部25例。手技施行者は初期研修医61例、後期研修医73例、スタッフ78例。迷入数は計41例で内訳は初期研修医7例、後期研修医16例、スタッフ18例であった。施行者各群の迷入率は群間に有意差はなかった(初期研修医:後期研修医:スタッフ=11.5%: 21.9%: 23.1%, p = 0.18)。患者背景で重症度、挿入部位、事前CT有無が迷入率に影響ある可能性があった(それぞれp=0.067 ,p=0.039 ,p=0.028 )。そのためこれらに関しそれぞれ層別解析を行ったが、やはり群間に有意差はなかった。むしろ若手医師の方が迷入率が低い傾向にあった。【結論】経験年数の違いで胸腔ドレーンの迷入率に差はなかった。