第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

医療事故訴訟・医療安全

[O81] 一般演題・口演81
医療事故訴訟・医療安全02

Sat. Mar 2, 2019 5:30 PM - 6:30 PM 第9会場 (国立京都国際会館2F Room B-2)

座長:山口 弘子(名古屋掖済会病院)

[O81-4] 過去一年間の受講者に対する心肺蘇生法の知識と自己効力感との関連性

安部 直美, 安部 志穂, 神田 美由紀 (米沢市立病院 集中治療科)

【はじめに】心肺蘇生法講習会(以下講習会)について「研修直後は自己効力感が高く自信をもって実践できる」という先行文献を受けて、今回研修受講後1年という一定の期間をおいての受講者の技能と自己効力感について明らかにする。【目的】1.講習会受講1年以内の受講者の技能と自己効力感との関連性を調査する。2.受講1年以内の自己効力感について検証する。【方法】深山らが作成したアンケートを参考に独自に調査紙を作成した。調査内容は属性、講習会の受講回数と最終受講月、心肺蘇生法の一連の流れ14項目からなる自己技能評価と10項目からなる自己効力感についてである。質問項目ごとに単純集計を行い、項目に合わせてスピアマンの相関係数とマンホイットニー検定で分析した。【倫理的配慮】対象者に本研究の趣旨を説明し、個人が特定されないこと、不利益が生じないことを文書で説明し同意を得た。【結果】対象者は受講者56名で、有効回答は34名(72.3%)だった。性別は男性14名、女性20名、年齢は20代から70代であった。調査結果では自己技能評価14項目と自己効力感10項目で関連性がみられた。「性別」と自己技能評価、自己効力感に有意差はなかった。「講習会受講回数」と自己技能評価3項目、自己効力感1項目で負の相関がみられ、受講回数の多い人ほど技術への不安が大きくなり、自信も低下する結果となった。「最終受講月」と自己効力感との間に相関はなかった。【考察】今回の調査では自己技能と自己効力感に有意な相関をみとめた。これは心肺蘇生法の必要性を感じて講習会を受講し、その結果心肺蘇生法を習得したという確信が自己効力感を高めることにつながったと考える。「講習会受講回数」と自己技能評価、自己効力感で負の相関がみられた。これは、受講を重ね深く学ぶことで疑問点や技術不足が明確になり、逆に自信の喪失につながったのではないかと考える。今回の調査では「最終受講月」と自己効力感に関連はなかったが、受講直後の調査はしていないため、自己効力感の変化については判断できない。自己技能については、講習会受講後12ヶ月程度は技能が維持されるというエビデンスから、自己効力感を維持していくためには、1年をめどに再度受講し自己技能を維持していく必要があると考える。【結論】1.受講1年以内の自己技能と自己効力感に有意な相関がみられた。2.最終受講月と自己効力感に関連性はなかった。