[O81-5] 注射薬与薬時に関するダブルチェックの取り組み
【背景】A病院救急ICU(以下EICU)では、確実な薬剤投与を目的として2人同方向ダブルチェックを導入していたが、注射薬与薬において患者への影響度が高いインシデントを経験した。そのため、再発防止として2人双方向ダブルチェックに変更した。それにも関わらず、患者への影響度が高いインシデントが発生した。【目的】インシデント発生には、2人同時双方向ダブルチェックの手順が統一されていないことで、確認項目である6R項目の欠落が関連しているのではないかと考えた。2017年6月より6R項目の欠落を防ぐために、2人同時双方向ダブルチェックの手順に読み上げる順番を追加した。読み上げる順番は、当院で使用している注射薬ラベルに準じ、1.患者・ID2.薬剤名3.投与量4.速度5.経路6.時間とした。導入前に、全スタッフへデモンストレーションを行い周知した。今回、注射薬与薬に関するインシデントを後ろ向きに調査し、この取り組みを評価した。【倫理的配慮】調査から得られたデーターは個人が特定されないように配慮し、スタッフへ紙面にて本研究発表で使用する事を説明し同意を得た。【方法】当院のインシデントレポートシステムに報告された、EICUで発生した注射与薬のインシデント報告を後ろ向きに調査した。調査期間は、2016年7月1日から2018年6月30日、介入方法は双方向ダブルチェック方法に読み上げる順番を統一した前後で注射薬与薬のインシデント数、インシデントの影響度、6Rに関する内訳を比較した。【結果】発生インシデント件数は、前後で23件から12件に減少した。影響度別内訳はレベル1が10件から6件、レベル2が11件から5件、レベル3aが2件から1件であった。6R項目別では、投与量が5件から0件、薬剤が5件から2件、速度が6件から3件、経路が6件から5件に減少した。【結論】2人同時双方向ダブルチェックの手順に読み上げる順番を統一したことは、インシデントの減少に影響があったと考える。