[O82-1] 地方基幹病院の集中治療室における人工呼吸器管理患者の重症度分類
【目的】当院は全国20の政令指定都市の中で最も高齢化率の高い北九州市西部に位置する基幹病院である.近年,集中治療室(ICU)の入室患者の高齢化・重症化を認識していた.今回,重症度が高いと考えられるICUで人工呼吸器管理患者の背景・重症度・予後を検証し,看護ケアに生かそうと考え取り組んだ.【方法】2016年4月から12か月(2016年度群),2017年4月から12か月(2017年度群)に当院ICUに入室し,3日以上気管挿管下で人工呼吸器管理を行った成人の症例を後ろ向きに比較した.調査項目は,患者背景として年齢・性別・BMI・重症度としてAPACHE2,予後として退院時の生存または死亡,挿管日数,ICU滞在日数とした.【結果】2016年度群85症例,2017年度群67症例が該当した.患者背景の年齢,男女比,BMIでは有意差はないが,APACHE2では有意差を認めた.予後では死亡率にのみ,有意差を認めた(表).【考察と結語】2017年度群は死亡率・APACHE2が有意に高いが,年齢・性別・BMIで差はなかった.重症化に伴い,死亡率が増加したと思われた.高齢者は併存疾患があり病態は複雑化するため,主治医・看護師だけでなくコメディカルを含めたチーム医療を行うことが重要である.その中でICU看護師はチームのまとめ役や個別性のある看護ケアを実践するため,知識・技術を高める必要がある. 当院のある北九州市では今後も更なる高齢化が予想される.2025年問題に向けて高齢化は更に進み,重症度も増加が懸念されるため継続してチーム医療に取り組んでいく必要がある.