[O82-6] カフ形状とカフ圧調整方法の違いによるカフ流れ込み量の検討
【背景】気管チューブのカフ圧調整は、目標圧に直接設定する(直接法; D法)よりも、目標圧よりも高い圧に設定してから減圧し、目標圧に設定する(オーバーインフレート法; O法)ことが必要とされている。テーパリング形状のカフは気管壁との接触部に皺を作らないことが特徴であり、従来とはカフ圧調整の考え方が異なる可能性がある。【目的】カフ形状とカフ圧調整方法の違いにより、カフ垂れ込み量に違いがあるかを検討する。【方法】内径7.0mmの挿管チューブ4種類(エンドソフト気管チューブ;テレフレックス(T)、ポーテックス気管内チューブ;スミスメディカル(S)、パーカー気管チューブ;日本メディカルネクスト(P)、テーパーガード気管チューブ(G);メドトロニック)を比較した。人工気道に見立てた内径22mmの塩化ビニル製チューブを、45度の傾斜台に設置し、各チューブを留置した。カフ圧は自動カフ圧計(カフキーパー;コヴィディエン)を用いて26cmH2Oに調整した。D法は当初から26cmH2Oに設定し、O法は、一度80cmH2Oに加圧したのち5秒保持し、その後26cmH2Oまで減圧して調整した。気管分泌物に見立てた溶き卵10mLをカフ上部に流し込み、5分間の垂れ込み量を測定し比較した。【結果】各5回測定した結果を表に示す。T以外のチューブではD法よりもO法の方が、垂れ込み量が少なかった。【結論】従来から考えられているように、オーバーインフレート法によるカフ圧調整は分泌物垂れ込みを減少した。しかし、テーパリング形状カフでは差はわずかであり、直接法も臨床的に使用できると考えられる。