[O83-2] 免疫不全患者の急性呼吸不全における呼吸療法 -HFNCとNPPVの比較-
【背景】免疫不全患者の急性呼吸不全では挿管に関連した合併症を回避する目的で非侵襲的陽圧換気(NPPV)や経鼻高流量酸素療法(HFNC)が使用される。ただし、呼吸療法の選択が患者予後に与える影響は不明である。
【目的】当院ICUに入室した免疫不全患者にて、ICU入室時のNPPVおよびHFNCの選択が患者転帰に与える影響を後方視的に調査する。
【方法】2011~2017年に入室した血液悪性腫瘍患者と2016~2017年に入室した免疫不全状態の患者(JIPADの定義に準じる)のうち、呼吸療法開始前のP/F比が300 mmHg未満の患者を対象とした。18歳未満、蘇生措置/挿管拒否、気管切開後、入室前の人工呼吸器使用患者は除外した。ICU入室時にNPPVを使用した患者(NPPV群)とHFNCを使用した患者(HFNC群)において、ICU在室期間、ICU死亡率、気管挿管率、新規肺炎の発症率を比較した。
【結果】22人(HFNC群12人、NPPV群10人)について検討した。APACHE2スコアはHFNC群24、NPPV群26 (p = .43)、入室時のP/F比はHFNC群102 mmHg、NPPV群135 mmHg (p = .13)で有意差はなかった。平均ICU在室日数はHFNC群5日、NPPV群14日で、HFNC群で有意に短かった(p = .01)。ICU死亡率はHFNC群16.7%、NPPV群30.0% (p = .79)、挿管率はHFNC群33.3%、NPPV群50.0% (p = .51)、新規肺炎の発症率はHFNC群8.3%、NPPV群20.0% (p = .43)でいずれも有意差を認めなかった。
【結論】免疫不全患者の急性呼吸不全において、NPPVとHFNCの選択によってICU在室日数以外の転帰に有意差はなかった。ただし、ICU死亡率や挿管率、新規肺炎の発症率はいずれもHFNC群で低い傾向がみられた。今後無作為化比較試験による検証が必要と考えられた。
【目的】当院ICUに入室した免疫不全患者にて、ICU入室時のNPPVおよびHFNCの選択が患者転帰に与える影響を後方視的に調査する。
【方法】2011~2017年に入室した血液悪性腫瘍患者と2016~2017年に入室した免疫不全状態の患者(JIPADの定義に準じる)のうち、呼吸療法開始前のP/F比が300 mmHg未満の患者を対象とした。18歳未満、蘇生措置/挿管拒否、気管切開後、入室前の人工呼吸器使用患者は除外した。ICU入室時にNPPVを使用した患者(NPPV群)とHFNCを使用した患者(HFNC群)において、ICU在室期間、ICU死亡率、気管挿管率、新規肺炎の発症率を比較した。
【結果】22人(HFNC群12人、NPPV群10人)について検討した。APACHE2スコアはHFNC群24、NPPV群26 (p = .43)、入室時のP/F比はHFNC群102 mmHg、NPPV群135 mmHg (p = .13)で有意差はなかった。平均ICU在室日数はHFNC群5日、NPPV群14日で、HFNC群で有意に短かった(p = .01)。ICU死亡率はHFNC群16.7%、NPPV群30.0% (p = .79)、挿管率はHFNC群33.3%、NPPV群50.0% (p = .51)、新規肺炎の発症率はHFNC群8.3%、NPPV群20.0% (p = .43)でいずれも有意差を認めなかった。
【結論】免疫不全患者の急性呼吸不全において、NPPVとHFNCの選択によってICU在室日数以外の転帰に有意差はなかった。ただし、ICU死亡率や挿管率、新規肺炎の発症率はいずれもHFNC群で低い傾向がみられた。今後無作為化比較試験による検証が必要と考えられた。