[O84-2] 気管チューブの内径が高頻度振動換気(HFOV)の換気効率に及ぼす影響:モデル肺を用いた検討
【背景】HFOVの換気効率改善は肺保護効果を増強する可能性がある。成人用HFOV呼吸器R100(Metran)では、肺に達するstroke volume(SV)は気管チューブ(ETT)の断面積に比例するとされ(Hirao O, 2009)、一定の設定SV(sSV)ではETTが細径になると換気能力が低下する。一方、肺に達するSVが同じ場合はガス流速(flow velocity)が速くなるために、HFOV特有の換気機序を増強して換気効率が改善する可能性がある。【目的】ETTの内径がHFOVの換気効率に及ぼす影響を検討する。【方法】気管気管支模型を内蔵した20 Lのポリタンクをモデル肺とし、ETT(内径:7、8、9 mm)を介してR100に接続して換気した(振動数8Hz、平均気道内圧25cmH2O)。モデル肺にCO2を持続注入(VCO2、mL/min)し、capnometerでモデル肺内ガスを持続吸引してPCO2(mmHg)をモニターした。安定後のPCO2とVCO2から有効換気量(VA、L/min)を算出した。モデル肺内圧をモニターし圧振幅×complianceでSVを算出した(cSV)。実験-1:8 mm ETTを用い、回路内定常流(BF)20 L/min、設定SV(sSV)205mLとしてVAを計測し、臨床使用の目安とした(Target VA、n=8)。実験-2:BF=40L/min、sSV=80-200mL(20mL毎、7 & 8mm ETT)または80-180mL(同、9mm ETT)としてVAを計測した(n=6)。sSVおよびcSVとVAの相関式からTarget VAを得るsSVとcSVを算出した。死腔量(VD、mL)は7 mm ETT:96、8 mm ETT:100、9 mm ETT:104。【結果】Target VA(L/min)は21.1±0.4(m±SD)、cSV(mL)は164±1。Target VAを得るsSV(mL)およびcSV(mL)は、7 mm ETT:192、124、8 mm ETT:174、131、9 mm ETT:169、142。cSVの差はVDの差より大きく、換気効率の違いを示している。【結論】内径7、8、9 mmの比較では、ETTの内径が小さい方がHFOVの換気効率は良い。