[O84-5] ポリウレタン製カフ気管チューブにおける気管径に対するマイクロアスピレーション特性についての実験的検討
【背景】人工呼吸関連肺炎(VAP)発症のメカニズムの一因として、気管チューブカフからのマイクロアスピレーションが指摘されている。従来広く用いられていた塩化ビニル製カフの気管チューブに代わり、VAP発症予防のため、素材がより薄く柔らかいポリウレタン製カフの気管チューブが本邦でも導入されつつあるが、ポリウレタン製カフの気管チューブの種類により、マイクロアスピレーションの量が異なるかどうかは明らかにされていない。【目的】本邦で導入されている3種のポリウレタン製カフの気管チューブにおいて、異なる気管径に対するマイクロアスピレーションの特性を明らかにする。【方法】ポリウレタン製カフのSealGuard Evac(R)、Microcuff(R)、Parker ThinCuff(R)の3種の内径7.5 mmの気管チューブを使用し比較検討した。人工気管のモデルとして、実際の気管形状に似せるため正円筒の一部を平面(断面がC字型)としたアクリル管を作成し、内径18 mmと22 mmの大小2種のものを用いた。アクリル管上部より気管チューブを挿入しカフを拡張、自動カフ圧コントローラーを用いカフ圧は25 cmH2Oに設定した。カフ上に着色した液体を20 ml注入し、2分後にカフ下にリークする液体量を測定した。【結果】SealGuard Evac(R)においては、内径18 mmと22 mmの大小のC字型管いずれにおいてもカフリーク量は少なかった。Microcuff(R)では、内径22 mmの大口径のC字型管においてのカフリーク量は少なかったが、内径18 mmの小口径ではSealGuard Evac(R)、Parker ThinCuff(R)に比べカフリーク量が有意に増大した。一方で、Parker ThinCuff(R)においては、内径18 mmの小口径のC字型管においてのカフリーク量は少なかったが、内径22 mmの大口径ではSealGuard Evac(R)、Microcuff(R)に比べカフリーク量が有意に増大した。【結論】同じポリウレタン製カフにおいても、気管チューブ種により気管径に対するカフリーク特性が異なっている。Taper型ポリウレタン製カフの気管チューブは、患者個々で異なる気管径の大小にかかわらずマイクロアスピレーションが少なく、VAP発症予防に有用であると考えられた。