第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

呼吸 研究

[O84] 一般演題・口演84
呼吸 研究03

2019年3月2日(土) 10:25 〜 11:15 第10会場 (国立京都国際会館1F Room C-1)

座長:中山 泉(沖縄県立中部病院 集中治療部)

[O84-6] PAV+によって測定される呼吸仕事量および吸気筋力と人工呼吸器離脱の関係

石塚 あずさ, 片岡 惇, 三反田 拓志, 富田 静香, 鍋島 正慶, 藤本 佳久, 則末 泰博 (東京ベイ浦安市川医療センター 救急集中治療部 集中治療部門)

【背景】現在の人工呼吸器離脱では自発呼吸試験(SBT)を試行し、成功すれば抜管する手法が一般的に用いられるが、SBTを成功しても、再挿管となる患者が存在する。再挿管は院内死亡の独立した因子であり、SBT時により正確に抜管失敗を予測したいところである。SBT時の呼吸仕事量が大きい場合は、SBTを成功したとしても抜管後の呼吸不全発症や抜管失敗のリスクが高いとされる。PAV+(PB840/980, Covidien社)は患者の吸気努力と肺メカニクスに応じたサポートを行うことができる自発呼吸モードであり、呼吸仕事量や吸気筋力、および肺メカニクスを簡便にモニタリングすることもできる。本研究では、PAV+で測定される呼吸仕事量および吸気筋力が、抜管後の呼吸不全および抜管失敗を予測し得るか検証を行った。【方法】当院ICUに入室した患者に対して前向き観察研究を行った。18歳以上の挿管・人工呼吸器管理をされた成人で、SBTを施行され(SBTはPAV+ サポート20%で施行)、かつ30分以上SBTの成功基準を満たした患者を組み入れとした。PB840/980以外の人工呼吸器で管理されている患者、再挿管や気管切開がされている患者、抜管後に再挿管しない方針の患者は除外とした。抜管前にPAV+で測定された患者の呼吸仕事量(WOB)と最大気道内圧(Ppeak)を記録し、患者の吸気筋力(Pmus)については、Pmus =(Ppeak-PEEP)×(100-サポート率)/サポート率として算出した。アウトカムは、抜管後72時間以内の再挿管および抜管後呼吸不全の発症とした。【結果】本報告は中間報告であり、組入れ基準を満たした38例を対象として解析した。抜管後72時間以内に再挿管となったのは3例、呼吸不全を来したのは14例であった。再挿管については症例数が少なく検証していない。抜管後の呼吸不全発症群では非発症群に比べPmusが有意に高かった(14.4(11.7-16.6) vs 12.3(9.5-14.1) cmH2O, p=0.029)。呼吸仕事量の平均値(p=0.988)や、PAV+で測定されたコンプライアンス(p=0.665)、レジスタンス(p=0.665)については、いずれも両群間で有意な差を認めなかった。【結語】SBT中にPAV+で測定される吸気筋力が高い場合、抜管後の呼吸不全発症を予測できる可能性がある。最終的な結論にはさらなるデータ集積が必要である。