第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

循環 研究

[O87] 一般演題・口演87
循環 研究03

2019年3月2日(土) 14:50 〜 15:50 第10会場 (国立京都国際会館1F Room C-1)

座長:井口 直也(大阪大学大学院医学系研究科生体統御医学講座麻酔・集中治療医学教室)

[O87-5] 当院における植込み型除細動器植込み患者の予後と死因についての解析

横松 孝史, 加藤 雅史, 北條 瞬, 川治 徹真, 櫛山 晃央, 中妻 賢志, 金田 和久, 三木 真司 (三菱京都病院 心臓内科)

【背景】 急性・慢性心不全診療ガイドラインの2017年改訂版が発表されたが、その中の終末期における緩和ケアの項目では、意思決定能力が低下する前にあらかじめ患者や家族と治療や療養について対話するプロセスであるアドバンスケアプランニング(ACP)が推奨クラス1として挙げられ、その重要性が増している。しかし、重症心不全患者の予後を予測することは困難な場合も多く、その機会を逸してしまったまま終末期を迎え、治療の選択に苦慮することも少なくない。【目的】 今回、今後のACPを含めた心不全終末期医療への取り組みのための指標の一つとして、当施設の植込み型除細動器(ICD/CRT-D)植込み患者における予後と死因を明らかにすることとした。【方法】 2005年5月以降に当院で植込み型除細動器(ICD/CRT-D)を植込んだ患者119名(平均年齢67.7±10.6歳、男性81名; 68%)を後ろ向きに解析し、植込みから追跡期間中の死亡までの日数と死因について検索した。【結果】 平均観察期間は1534日、中央値1174日で、植込みデバイスの内訳はICD53名、CRT-D66名であった。観察期間内において46名(38.7%)が死亡しており、Kaplan-Meier法による生存曲線分析では観察期間中央値の約3年時点での死亡率が30.0%、5年時点で42.3%であった。植込み時の年齢を考慮すると高い死亡率であった。また、患者背景に差はあるものの、CRT-D植込み患者の方が有意に予後は不良であった(p=0.03)。死因については、心不全死が全死亡の34.8%と最も多く、次いで不整脈・突然死20.0%であった。感染症13.0%、悪性疾患10.9%、その他の非心臓死10.9%と続いた。心不全の悪化による死亡では死亡前に一定の入院期間があることが多かったが、死亡前の入院期間がほとんどない突然死が多いことも特徴の一つであった。【結論】 除細動器植込み後の患者の予後は不良で、ICD/CRT-Dが留置されているにもかかわらず突然死の比率も高い傾向にあり、やはり死期が予測困難であることを示唆していた。このようなデバイス植込みに至る患者群の予後が悪いことを意識し、より早期からACPの取り組みを進めることが課題であると考えられた。