第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

循環 研究

[O88] 一般演題・口演88
循環 研究04

Sat. Mar 2, 2019 3:50 PM - 4:50 PM 第10会場 (国立京都国際会館1F Room C-1)

座長:西田 博(東京品川病院)

[O88-5] 重症患者の予後予測ツールとしてのBNPの活用

新井 隆男1, 弦切 純也1, 長田 雄大1, 星合 朗1, 佐野 秀史1, 櫻井 将継1, 織田 順2 (1.東京医科大学八王子医療センター 救命救急センター, 2.東京医科大学病院 救命救急センター)

【背景・目的】救急集中治療では、単なる心不全や肺炎ではなく、これらの複合病態による呼吸困難が多い。これに対し、BNPだけでなく、炎症マーカーや腎機能マーカー、年齢などの多変量を解析し、患者の予後を予測できれば、治療の向上や患者の意思決定に貢献できるものと思われる。本研究では、BNPに加え、WBC、CRP、eGFR、および年齢を用いて、多変量解析(主成分分析)を行い、患者の予後(気管切開の有無)の予測可否について検証した。【対象・方法】当救命救急センターにおける、2014年4月1日~1017年3月31日のデータを振り返った。呼吸困難で受診し、心不全や肺炎が疑われた(18歳以上の)全患者に対し、採血(BNP、WBC、CRP、eGFR)を含む診察が行われていた。カルテから治療経過(酸素投与、NPPV、人工呼吸、気管切開など)を抽出し、これらの臨床アウトカムと、最初のマーカー値との相関を主成分分析を用いて検討した。【結果】主成分1は主に「炎症」の度合いを主に反映し、その寄与度は35.6%であった。主成分2は主に「鬱血」の程度を反映し、その寄与度は28.3%であった。つまり、5次元の全情報のうち63.9%が2次元に落とし込まれた。さらにこの2次元において、第一象限に位置した症例の60.0%が気管切開に至っていた。対照的に第二象限では27.7%、第三象限では28.8%、第四象限では37.2%と低値であり、すなわち、第一象限ではより多くの患者で気管切開が行われていた(P<0.05)。【考察・結語】BNPに加え、WBC、CRP、eGFR、年齢、を用いた多変量解析(主成分分析)を行うことで、「目の前の患者に気管挿管した場合に、その後、気管切開になるか否か」の予測が、ある程度の精度で可能なことが示唆された。この結果は、同様の研究を今後プロスペクティブに行うための、理論的根拠になるものと考える。