第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

循環 研究

[O88] 一般演題・口演88
循環 研究04

2019年3月2日(土) 15:50 〜 16:50 第10会場 (国立京都国際会館1F Room C-1)

座長:西田 博(東京品川病院)

[O88-6] 心臓集中治療室に入室した急性心不全患者における入院時のIL-6濃度と生命予後

沼田 まどか, 南 雄一郎, 春木 伸太郎, 重城 健太郎, 石田 一世, 溝渕 景子, 長田 晃裕, 大藪 謙次郎, 志賀 剛, 萩原 誠久 (東京女子医科大学病院 循環器内科)

【背景】インターロイキン6(IL-6)は、造血や液性免疫の制御に関わるサイトカインの1つである。IL-6は急性心不全(AHF)における予後的意義はほとんど知られていない。AHF患者の入院時IL-6濃度と生命予後との関連を明らかにすることを目的とした。【方法】2014年9月から2018年1月までにCCUへ入床した357例のAHF患者を対象とし、入院時に血漿IL-6濃度をしていない118例を除外した。血漿IL-6濃度を測定したAHF入院患者239例を評価した。 【結果】AHF患者の入院時IL-6濃度の中央値[四分位範囲]は17.0[8.0ー39.0]pg/mlであり、観察期間中央値229日の間に死亡した37例のIL-6濃度は生存例よりも高値であった(48.2[14.2ー119.8]pg/ml vs. 14.7[7.5-34.4] pg/ml; P<0.001)。ROC曲線を用いて算出したIL-6の全原因死亡に対する曲面下面積(AUC)は0.700であり、カットオフ値は31.2 pg/mlであった(感度 64.9%, 特異度 73.3%; P<0.001)。入院時IL-6高値(31.2 pg/ml)の患者は低値(<31.2 pg/ml)の患者に比して、高齢であり腎機能が悪かったが、左室駆出率、sBP、およびBNPに有意差を認めなかった。IL-6高値の患者の全原因死亡率は、低値の患者よりも有意に高く(図)、一般的に知られているAHFの予後因子で補正した多変量解析の結果、入院時IL-6高値は独立した生命予後予測因子であった(調整ハザード比 3.91, 95%信頼区間 1.89-8.07; P<0.001)。【結論】:入院時IL-6濃度がAHF患者の全死亡リスク層別化において、有用である可能性が示された。
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