第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

呼吸 症例

[O9] 一般演題・口演9
呼吸 症例02

2019年3月1日(金) 10:50 〜 11:50 第7会場 (国立京都国際会館1F Room E)

座長:中澤 弘一(東京医科大学病院)

[O9-5] 人工呼吸管理をICUでされた後に、人工気道(経口挿管、気管切開)の状態でICU退室となった40例の検討

徳永 健太郎, 谷川 広紀, 江嶋 正志, 菊池 忠, 成松 紀子, 鷺島 克之, 蒲原 英伸, 山本 達郎 (熊本大学 医学部附属病院 集中治療部)

【背景】人工呼吸が離脱できていない状態でICUから退室した症例や気管切開後の病棟での管理に関する情報は多くない。【対象】2016年4月から2017年5月まで、当院ICUで人工呼吸管理をされたのちに退室(被災のための転院,ICUから直接転院は除く)した患者のうち、人工気道(経口挿管、気管切開)の状態でICU退室となった40例【結果】ICUから退室時に人工呼吸が離脱できていない症例は26例(65%)、離脱できている症例が14例(35%)であった。人工呼吸が離脱できていない26例の年齢中央値は60歳(IQR 48-71)であった。ICU入室期間中央値は15日(IQR 8-22)であった。滞在期間に気管切開が施行されたのは17例(65.4%)で入室から気切までの中央値は13.5日(IQR 9.75-19.5)であった。気管切開からICU退室までは中央値で3日(IQR2-6)であった。経口挿管のままICUから退室したのは9例(34.6%)でそのうち1例は退室4日後に気管切開となった。呼吸器離脱ができたのは13例(50%)であった。その人工呼吸期間の中央値は23日(3-109)であった。ICU後の人工呼吸期間は中央値15日(1-93)予定入室の患者はなく全て緊急入室の症例であり、院内からの症例が18例(69.2%)だった。退院の転帰として、死亡が9例(34.6%)、転院14例(53.8%)、退院が3例(11.5%)であった。ICU後の病棟滞在期間は中央値30(IQR 12-50.75)であった。経口挿管で退室した9例のうち、2例が抜管でき1例は気管切開後に呼吸器離脱となった。死亡例は根治不能の悪性疾患や不可逆的脳損傷の症例であった。人工呼吸器は離脱したが気管切開のまま退室した症例は14例の年齢中央値は66歳(IQR 62.5-74.25)であった。ICU入室期間中央値は23日(IQR 23.5-31)であった。挿管期間は15.5日(IQR 10-21.25)、気管切開から呼吸器離脱までの中央値は4.5日(IQR 1-8.75)、気管切開からICU退室までは8日(IQR 2-12)であった。5例は入院中に気切抜去が可能であった。退院の転帰として、転院11例(78.6%)、退院が3例(21.4%)であった。ICU後の病棟滞在期間は中央値45日(IQR 34.75-82.75)であった。【まとめ】集中治療の現場では、ICU病床数は有限である。人工呼吸管理はICUで行うことが望ましいが、急性期を乗り切った後の管理として一般病棟での対応が必要となる場合がある。