第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

呼吸 症例

[O9] 一般演題・口演9
呼吸 症例02

Fri. Mar 1, 2019 10:50 AM - 11:50 AM 第7会場 (国立京都国際会館1F Room E)

座長:中澤 弘一(東京医科大学病院)

[O9-6] 聴神経腫瘍術後に喉頭浮腫を来し抜管困難となった1症例

佐野 宏樹, 岡島 正樹, 野田 透, 佐藤 康次, 余川 順一郎, 中村 美穂, 久保 達也, 谷口 巧 (金沢大学附属病院 集中治療部)

【背景】周術期の喉頭浮腫は気管挿管管理の合併症の一つであり、発生した場合には迅速な対応が迫られる。今回我々は聴神経腫瘍術後に喉頭浮腫を来し、再挿管を2度行い、気管切開を要した1症例を経験したため報告する。【臨床経過】60代女性、右難聴、耳鳴を契機に発見された聴神経腫瘍に対し側臥位にて腫瘍摘出術を施行、術後は気管挿管のまま集中治療室入室した。手術の際に換気用補強型気管チューブを挿入後、術者の希望により急遽迷走神経モニタリングのために声帯筋電図電極付き気管チューブの入れ替えを行い、手術を開始した。術中迷走神経のモニタリングは正常に行え、術後挿管管理を継続するために再度気管チューブを交換した。麻酔時間は13時間21分、手術時間は10時間47分、挿管チューブの径は7mm、いずれもの挿管も容易であった。体位は通常の側臥位で頭部を回旋屈曲し行われた。術後はデキサメサゾンの投与を行い、術後8時間で覚醒し抜管した。抜管後から嗄声、喘鳴を認め、同日再挿管となった。挿管時の観察で喉頭浮腫を認めたためステロイド投与により喉頭浮腫を改善させたのち再抜管の方針となった。術後3日目にて喉頭浮腫が残存していたが、前回の所見より改善し気道は開通していたため、再抜管を行った。アドレナリン吸入を行い浮腫の改善を待ったが、再び嗄声、喘鳴が持続し、同日再々挿管となった。術後4日目の観察では声帯麻痺や正門化狭窄は認めなかった。気管切開を行い喉頭浮腫の改善を待つ方針となり、術後7日目に気管切開を行い、術後8日目に集中治療室を退室した。その後喉頭浮腫は改善し術後13日目に気管切開カニューレを抜去し術後40日目に自宅退院となった。【結論】側臥位での後頭下開頭手術時の頸部の過屈曲やEMG気管チューブ使用で喉頭浮腫が生じた報告があり、本症例の喉頭浮腫にも影響があったと思われる。当院で過去に行った同様の手術では喉頭浮腫の出現はなかったが、本症例の原因、抜管時期などについて文献的考察を加え報告する。