第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

循環 症例

[O90] 一般演題・口演90
循環 症例05

Sat. Mar 2, 2019 5:50 PM - 6:40 PM 第10会場 (国立京都国際会館1F Room C-1)

座長:徳山 榮男(かわぐち心臓呼吸器病院)

[O90-2] 肺動脈解離の一例

徳田 剛宏 (西宮渡辺心臓脳血管センター)

【背景】肺動脈解離は非常に稀な疾患であり、慢性肺高血圧症の致命的な合併症の一つである。突然死の原因でもあり、剖検によって診断されることも多い。今回、我々は胸痛を主訴に来院された肺動脈解離の一例を経験したため報告する。【臨床経過】70歳、男性。アルコール性肝硬変があり、食道静脈瘤破裂の既往を有する。自宅でテレビを鑑賞中に、突然 胸痛が生じたため救急要請し、当センターへ搬送となった。来院時、血圧 202/100mmHg 脈拍数 65bpm 、血圧左右差はなく胸部X線でも明らかな縦隔陰影の拡大を認めなかったが、心エコー検査にて少量の心嚢水の貯留を認めたため、大動脈解離を疑い造影CT検査を行ったが明らかな左記を疑う所見を認めなかったが、肺動脈の著明な拡大および肺動脈主幹部に解離の所見を認めた。心タンポナーデの所見は乏しく、胸痛の自覚症状も消失していたため 保存的加療として安静、血圧管理の継続としたが、第4病日に突然 心停止となりPCPSにて補助循環を導入し開胸したとこ 肺動脈解離部の破裂が判明、修復不可能であり死亡退院となった。【結論】生存した肺動脈解離の一例を経験したが救命できなかった。胸痛の鑑別疾患として、肺動脈解離は稀であるが致命的な疾患であり、慢性肺高血圧症の患者では念頭に置いて診療し、診断した時点で迅速な血管修復術が必要であったと考える。