第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

循環 症例

[O90] 一般演題・口演90
循環 症例05

2019年3月2日(土) 17:50 〜 18:40 第10会場 (国立京都国際会館1F Room C-1)

座長:徳山 榮男(かわぐち心臓呼吸器病院)

[O90-4] 心筋逸脱酵素の上昇を伴ったことで診断に苦慮した肺動脈血栓塞栓症の一例

岡田 直己, 小柴 真一 (静岡済生会総合病院 研修医)

症例は46 才、男性。X年2月8日に労作時の息切れと胸背部に絞扼痛を自覚した。自宅で様子を見て症状改善するも今までにこのようなことはなかったため心配になり9日にER受診した。Xp、ECG、心エコーで明らかな異常を指摘できなかった。血液検査で心筋逸脱酵素の上昇を認めたため、病歴からACSを疑い、循環器内科コンサルテーションの上CAG施行された。症状を説明できる冠動脈の狭窄は認められずPAGで右主幹部に透亮像を認めたため、PEを疑い、造影CT施行したところ、右主幹部から一部左主幹部に至る血栓を認めたためPEの診断となった。血栓の分布範囲が広く、肺動脈血栓摘除術の適応と判断し、心臓血管外科コンサルテーションの上翌日手術となった。右肺動脈から長さ8cm太さ3cmの灰色血栓が摘除、左肺動脈から赤色血栓が吸引できた。血栓除去後CVPの低下を認めた。術後1日で抜管、術後4日でICU退室、術後14日で退院となった。本症例は初療段階で診断がつかず、冠動脈造影を契機に診断がついたPEの症例であった。心筋逸脱酵素の上昇を伴うPEの症例では、ACSとの鑑別に難渋する可能性が高いと考え今回報告する。