[O92-2] 敗血症による集中治療室入院患者の1年後におけるQOL評価
【背景】ICU入院患者は退室後にも精神・認知機能障害、身体機能障害が持続する、あるいは低下することが明らかになり、ICU退室後症候群(PICS)として定義される。敗血症患者では、退院後の死亡率上昇、認知機能障害発症、身体機能低下が欧米から報告されているが、本邦での現状は明らかでない。
【目的】ICUに入院した敗血症患者1年後のQOLを把握すること。
【方法と対象】単一施設による前向きデータ収集に基づく後向き観察研究を行った。2013年9月から2017年5月の間に敗血症(SSCG2012の重症敗血症)の診断で当院に入院した患者を対象とした。入院1年後に外来にて健康関連QOLの尺度であるSF-36を用いてQOLを調査した。
【結果】敗血症の診断で入院し、生存退院した患者84名中、62名を追跡できた。7名は1年以内に死亡した。1年後の生存者55名中33名にQOL調査を行うことができた。 男性70%、年齢68歳、入院時APACHE II スコア23(ともに中央値)であった。SF-36の下位8尺度[身体機能、日常役割機能(身体)、体の痛み、全体的健康感、活力、社会生活機能、日常役割機能(精神)、心の健康]のうち、特に身体機能の低下が著明であった[中央値25.4(国民標準値は50)]。数百m歩くのが難しい人の割合が大きく増える36点以下は、33名中20名であった(身体機能著明低下群)。入院時の患者背景や重症度、併発した臓器障害、入院中の治療を比較すると、身体機能著明低下群の14/20名(70%)が入院時に重篤な既往症を有していたのに対して、非身体機能著明低下群では6/13名(46%)であった。既往症有りは入院1年後における身体機能著明低下の感度は0.70 [95%CI 0.57-0.82]であった。入院時APACHE2スコアやステロイド投与、人工呼吸器装着期間は両群で差はなかった。
【結論】集中治療を要した敗血症患者では、入院1年後に来院可能であった患者の約60%に身体機能の著しい低下を認めた。さらに症例を集積し、危険因子の同定、身体機能低下予防のための介入方法などを明らかにする必要がある。
【目的】ICUに入院した敗血症患者1年後のQOLを把握すること。
【方法と対象】単一施設による前向きデータ収集に基づく後向き観察研究を行った。2013年9月から2017年5月の間に敗血症(SSCG2012の重症敗血症)の診断で当院に入院した患者を対象とした。入院1年後に外来にて健康関連QOLの尺度であるSF-36を用いてQOLを調査した。
【結果】敗血症の診断で入院し、生存退院した患者84名中、62名を追跡できた。7名は1年以内に死亡した。1年後の生存者55名中33名にQOL調査を行うことができた。 男性70%、年齢68歳、入院時APACHE II スコア23(ともに中央値)であった。SF-36の下位8尺度[身体機能、日常役割機能(身体)、体の痛み、全体的健康感、活力、社会生活機能、日常役割機能(精神)、心の健康]のうち、特に身体機能の低下が著明であった[中央値25.4(国民標準値は50)]。数百m歩くのが難しい人の割合が大きく増える36点以下は、33名中20名であった(身体機能著明低下群)。入院時の患者背景や重症度、併発した臓器障害、入院中の治療を比較すると、身体機能著明低下群の14/20名(70%)が入院時に重篤な既往症を有していたのに対して、非身体機能著明低下群では6/13名(46%)であった。既往症有りは入院1年後における身体機能著明低下の感度は0.70 [95%CI 0.57-0.82]であった。入院時APACHE2スコアやステロイド投与、人工呼吸器装着期間は両群で差はなかった。
【結論】集中治療を要した敗血症患者では、入院1年後に来院可能であった患者の約60%に身体機能の著しい低下を認めた。さらに症例を集積し、危険因子の同定、身体機能低下予防のための介入方法などを明らかにする必要がある。