[O92-3] 長崎労災病院ICUにおける4年間の敗血症症例の検討
【背景】2014年に当院に救急集中治療科が開設されて以来、集中治療専従医として、関連各診療科と連携し、集中治療をおこなってきた。すなわち、多職種と協力し、チーム医療を機能させ、標準的な集中治療を実践してきた。【目的】当院ICUに入室した敗血症症例に関して検討すること。【方法】2014年4月から2018年6月までの当院ICU入室症例2021症例のうち、敗血症の診断で集中治療をおこなった65症例を、日本ICU患者データベース(JIPAD)より抽出し、これらを対象として、患者背景、重症度、転帰を後ろ向きに検討した。【結果】主訴は、発熱、胸腹部症状、意識障害が多かった。ICU入室経路は、救急外来経由が28例、病棟経由が28例、手術室経由が9例であった。対象症例の診療科は、内科が最多で、外科、整形外科が次いで多かった。平均年齢は75才、男/女比は37/28、APACHE IIスコアの平均値は23であった。人工呼吸継続時間は平均248時間32分、ICU入室日数は平均15日、入院期間は平均51日、ICU死亡率は22%、院内死亡率は35%であった。【結論】敗血症診療は、循環不全からの早期離脱を目標とする集中治療の適応である。しかし、依然として死亡率は高く、救命しえた症例の退院後の生活の質の低下は今後ますます取り組むべき大きな課題である。症例ごとの集中治療の適応判断、長期予後を踏まえた評価、検討を重ねていく必要がある。