[O92-4] 過去2年間に当院集中治療室に入室した整形外科領域患者の臨床的検討
【はじめに】整形外科領域患者は一般的に健康であることが多く,集中治療を要することは決して多くない.しかし,重症外傷や敗血症などでは死に至ることもあり,適切な治療や全身管理が必要である.今回,当院の集中治療室(ICU)に入室した整形外科領域患者の臨床的特徴を検討した.
【方法】2016年4月から2018年8月までの期間に,旭川医科大学病院ICUに入室した整形外科領域患者について,診療録から後方視的に調査した.調査項目は年齢,性別,入室理由,入室時SOFAスコア,退室時SOFAスコア,入室期間,再入室の有無,入院期間,人工呼吸管理の有無,腎代替療法の有無,退室時転帰,退院時転帰とした.データは平均値±標準偏差で示した.
【結果】期間中の全ICU入室患者は2,358人,整形外科領域の患者は37人(1.6%)であった.年齢は64.0±17.1歳,男性21人(56.8%),女性16人(43.2%)であった.ICU入室理由は交通外傷が12人(32.4%)と最も多く,続いて感染症8人(21.6%),術後予定入室7人(18.9%),術中・術後合併症6人(16.2%)であった.感染症のうち7人と術後予定入室のうち1人の合計8人(21.6%)が敗血症に至った.SOFAスコアは入室時6.4±3.3,退室時3.8±2.1,ICU入室期間は7.8±8.9日であった.人工呼吸管理は23人(62.1%),腎代替療法は10人(27.0%)で施行された.5人(13.5%)の患者が再入室となっていた.ICU死亡は敗血症3人,交通外傷1人の合計4人(10.8%),さらに敗血症3人を加えた合計7人(18.9%)が死亡退院となった.経年的な変化については2016年度が7人,2017年度が21人,2018年度の5か月が9人と増加傾向にあった.
【考察】全ICU入室患者に対する整形外科領域のICU入室患者の割合は1.6%,全整形外科領域入院患者に対する整形外科領域のICU入室患者の割合は1.4%であった.当院の整形外科領域のICU入室患者の死亡率は10.8%であり,特に敗血症では37.5%と高い死亡率を呈した.退室時転帰を含めると,敗血症の死亡率は75.0%と非常に高く,これは骨軟部組織感染症が感染コントロールに難渋する点と,一般病棟や他院で病態が悪化してからICUに入室しているため集学的治療の開始が遅れることが原因と考えられた.
【結語】過去2年間に当院ICUに入室した整形外科領域患者37人について検討した.敗血症の死亡率が非常に高く,骨軟部組織感染症に対する早期の治療介入の必要性が示唆された.
【方法】2016年4月から2018年8月までの期間に,旭川医科大学病院ICUに入室した整形外科領域患者について,診療録から後方視的に調査した.調査項目は年齢,性別,入室理由,入室時SOFAスコア,退室時SOFAスコア,入室期間,再入室の有無,入院期間,人工呼吸管理の有無,腎代替療法の有無,退室時転帰,退院時転帰とした.データは平均値±標準偏差で示した.
【結果】期間中の全ICU入室患者は2,358人,整形外科領域の患者は37人(1.6%)であった.年齢は64.0±17.1歳,男性21人(56.8%),女性16人(43.2%)であった.ICU入室理由は交通外傷が12人(32.4%)と最も多く,続いて感染症8人(21.6%),術後予定入室7人(18.9%),術中・術後合併症6人(16.2%)であった.感染症のうち7人と術後予定入室のうち1人の合計8人(21.6%)が敗血症に至った.SOFAスコアは入室時6.4±3.3,退室時3.8±2.1,ICU入室期間は7.8±8.9日であった.人工呼吸管理は23人(62.1%),腎代替療法は10人(27.0%)で施行された.5人(13.5%)の患者が再入室となっていた.ICU死亡は敗血症3人,交通外傷1人の合計4人(10.8%),さらに敗血症3人を加えた合計7人(18.9%)が死亡退院となった.経年的な変化については2016年度が7人,2017年度が21人,2018年度の5か月が9人と増加傾向にあった.
【考察】全ICU入室患者に対する整形外科領域のICU入室患者の割合は1.6%,全整形外科領域入院患者に対する整形外科領域のICU入室患者の割合は1.4%であった.当院の整形外科領域のICU入室患者の死亡率は10.8%であり,特に敗血症では37.5%と高い死亡率を呈した.退室時転帰を含めると,敗血症の死亡率は75.0%と非常に高く,これは骨軟部組織感染症が感染コントロールに難渋する点と,一般病棟や他院で病態が悪化してからICUに入室しているため集学的治療の開始が遅れることが原因と考えられた.
【結語】過去2年間に当院ICUに入室した整形外科領域患者37人について検討した.敗血症の死亡率が非常に高く,骨軟部組織感染症に対する早期の治療介入の必要性が示唆された.