[O93-4] ICUにおけるプロカルシトニン値の臨床的意義についての検討
【背景】プロカルシトニン(PCT)は敗血症の重症度判定や予後予測における有用性を示す報告が多い。また敗血症の原因菌はグラム陽性球菌(GPC)よりもグラム陰性桿菌(GNR)でPCT値が高値になる報告が散見される。【目的】ICUで治療を要する敗血症患者において、転帰にPCT値が関連するかを明らかにする。【方法】2015年4月1日から2018年3月31日の期間に当ICUに入室した成人の敗血症患者で、血液培養陽性かつPCT値を測定した症例を対象に、診療録とデータベースを用いて後ろ向きに調査した。血液培養から複数の菌が検出された症例は除外した。主要評価項目は生存群と死亡群間のPCT値の関連性とした。また、副次評価項目はGPC群とGNR群間のPCT値の関連性とした。【結果】期間中に当ICUに入室した患者は2008名で、対象患者は175名(男性108名、女性67名)であった。平均年齢は75±11.6歳、血液培養から検出された菌の内訳は、GPC 74名、GNR 79名、グラム陽性桿菌13名、真菌9名であった。主要評価項目のPCT値(ng/ml)は生存群:26.6[5.6-96]、死亡群14.9[3.3-65.3]で統計学的な有意差を認めなかった(p=0.22)。また副次評価項目のPCT値(ng/ml)は、GPC群:10.25 [1.8~29.5]、GNR群: 55.6 [15.5~132]であり、GNR群が有意に高値であったが (p<0.001)、転帰に有意差はなかった(p=0.09)。【結論】PCT値と死亡率の間に関連性は無かったが、生存群でPCT値が高くなる傾向にあった。