[O95-1] 血液培養陽性の敗血症に対する経験的抗菌薬の使用状況
【背景】敗血症では迅速かつ適正な抗菌薬使用が予後に関与するとされており、1時間以内の経験的抗菌薬の投与がhour-1 bundleとして推奨されている。
【目的】敗血症に対する早期治療介入を実現するため、当院救急外来、ICUでの経験的抗菌薬の使用状況を後ろ向きに調査した。
【方法】対象は2016年1月から2018年7月に救急外来を受診し、治療経過中にICUへ入室した敗血症患者で、血液培養が陽性となった41症例を抽出した。感染臓器、検出菌種、選択した抗菌薬の種類、初回投与までの時間を調査し、薬剤感受性や組織移行性により抗菌薬の治療適性を評価した。抗菌薬の治療不適合や開始遅延が生じた症例では、背景因子や臨床経過を考察した。また、全症例における救急外来トリアージ時のSIRS、qSOFAの陽性率を調査した。
【結果】患者特性は平均年齢67.5歳、男性26例 (63.4 %)、平均APACHE2スコア 22.7点、感染臓器は腹腔内18例 (43.9 %)、尿路7例 (17.1 %)、下気道4例 (9.8 %)、皮膚・軟部組織3例 (7.3 %)、感染性心内膜炎2例 (4.9 %)、不明7例 (17.1 %) であった。初回投与時に選択された抗菌薬はカルバペネム系12例 (29.3 %)、ピペラシリン・タゾバクタム11例 (26.8 %)、第3世代セファロスポリン11例 (26.8 %)、その他7例 (17.1 %) であった。併用薬を含めた抗菌薬の選択は約90 %の症例で有効と考えられた。救急外来でのトリアージから抗菌薬開始までの時間は中央値118分 [四分位点 71 - 186] で、救急外来で開始されたのは23例 (56.1 %) であった。抗菌薬開始に120分以上を要した遅延群の患者背景として、呼吸数<22回/分が有意に多かった (カイ二乗検定、p<0.05)。全41例のうち、SIRS陽性率は95.1 %、qSOFA陽性率は61.0 %であった。
【結論】血液培養陽性の敗血症に対して投与された経験的抗菌薬は、約90 %の症例で有効と考えられた。SIRSと比較しqSOFAの陽性率は低く、救急外来での敗血症スクリーニングとしての使用には注意を要する。抗菌薬開始の遅延は、頻呼吸のない症例に多く認められた。hour-1 bundleの達成には、救急外来での適切な患者スクリーニングとICU入室前の抗菌薬開始が必要である。
【目的】敗血症に対する早期治療介入を実現するため、当院救急外来、ICUでの経験的抗菌薬の使用状況を後ろ向きに調査した。
【方法】対象は2016年1月から2018年7月に救急外来を受診し、治療経過中にICUへ入室した敗血症患者で、血液培養が陽性となった41症例を抽出した。感染臓器、検出菌種、選択した抗菌薬の種類、初回投与までの時間を調査し、薬剤感受性や組織移行性により抗菌薬の治療適性を評価した。抗菌薬の治療不適合や開始遅延が生じた症例では、背景因子や臨床経過を考察した。また、全症例における救急外来トリアージ時のSIRS、qSOFAの陽性率を調査した。
【結果】患者特性は平均年齢67.5歳、男性26例 (63.4 %)、平均APACHE2スコア 22.7点、感染臓器は腹腔内18例 (43.9 %)、尿路7例 (17.1 %)、下気道4例 (9.8 %)、皮膚・軟部組織3例 (7.3 %)、感染性心内膜炎2例 (4.9 %)、不明7例 (17.1 %) であった。初回投与時に選択された抗菌薬はカルバペネム系12例 (29.3 %)、ピペラシリン・タゾバクタム11例 (26.8 %)、第3世代セファロスポリン11例 (26.8 %)、その他7例 (17.1 %) であった。併用薬を含めた抗菌薬の選択は約90 %の症例で有効と考えられた。救急外来でのトリアージから抗菌薬開始までの時間は中央値118分 [四分位点 71 - 186] で、救急外来で開始されたのは23例 (56.1 %) であった。抗菌薬開始に120分以上を要した遅延群の患者背景として、呼吸数<22回/分が有意に多かった (カイ二乗検定、p<0.05)。全41例のうち、SIRS陽性率は95.1 %、qSOFA陽性率は61.0 %であった。
【結論】血液培養陽性の敗血症に対して投与された経験的抗菌薬は、約90 %の症例で有効と考えられた。SIRSと比較しqSOFAの陽性率は低く、救急外来での敗血症スクリーニングとしての使用には注意を要する。抗菌薬開始の遅延は、頻呼吸のない症例に多く認められた。hour-1 bundleの達成には、救急外来での適切な患者スクリーニングとICU入室前の抗菌薬開始が必要である。