第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(口演)

感染・敗血症 研究

[O95] 一般演題・口演95
感染・敗血症 研究06

Sat. Mar 2, 2019 2:00 PM - 2:40 PM 第12会場 (国立京都国際会館5F Room 510)

座長:吹田 奈津子(日本赤十字社和歌山医療センター 集中治療室)

[O95-4] 当院で経験したカルバペネム耐性腸内細菌科細菌アウトブレイク

林 振作, 秋田 尚毅, 根来 孝義, 亥野 春香, 福田 真樹子, 秋元 寛, 小畑 仁司 (大阪府三島救命救急センター)

カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)は多くの抗菌薬に耐性があり、近年国際的に警戒が強まっている。日本でも2014年9月から感染症法における5種全数把握疾患となった。当院にて同菌によるアウトブレイクを経験したため報告する。【発生状況】2017年11月某日(day0)、入院患者2名の尿および他院転院後の患者1名の喀痰及び尿からCREを検出した。day4、別の入院患者1名の尿、および別の1名の入院患者の便からCREを検出した。合計5名全ての患者において同一菌種(Klebsiella pneumoniae)、同一薬剤感受性パターンであり、後日遺伝子検査にて同一株と判明した。全患者が一度はICUに入院していた。環境培養からは、吸引器のスイッチ2ヵ所と排液1か所からのみCREが検出された。このため感染経路はICU内外でのCRE保菌者から他患者への水平感染が予想され、医療従事者を介しての伝播と考えられた。【感染予防対策】day0に入院中のCRE陽性患者2名を個室隔離し接触予防策開始。接触者リストを作成し、接触者検査状況の確認を行った。同日保健所に連絡し新規患者受け入れを全面停止した。また院内にCRE感染対策本部を設置した。day4に新たにCRE陽性患者2名が見つかったため、入院中のCRE陽性患者4名全員をICUにコホートした。全スタッフに対しシミュレーターを用いた手指消毒及び個人用感染防御具(PPE)使用の講習、継続的な手指消毒モニタリングの実施、動線の見直しとマニュアル作成、マセレーターの導入と汚物槽の廃止、水回りの物品整理、患者共有物品の見直し、ディスポ製品の採用拡大、院内感染マニュアルの大幅改訂、入院時アクティブサーベイランスの実施、感染管理委員会のミーティング増加、手指消毒強化週間の設定などを行った。【経過】day4以降は新規のCRE保菌者はなく、day39から徐々に新規患者受け入れを再開した。複数回のアクティブサーベイランスで新規のCRE保菌者の発生のないことを確認し、day228にCREアウトブレイクの終息を宣言した。【考察】標準予防策の徹底が不十分だったため、アウトブレイクに至ったと推測された。手指消毒の徹底や動線の見直し、マセレーターの導入などで水平感染の機会は減らすことができた。経時的に手指消毒がおろそかになってきていることもあり、継続した教育が必要である。【結語】CREアウトブレイクを経験した。水平感染対策の強化を行ない、アウトブレイクの終息を得た。