第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

感染・敗血症 症例

[O96] 一般演題・口演96
感染・敗血症 症例06

2019年3月2日(土) 14:40 〜 15:20 第12会場 (国立京都国際会館5F Room 510)

座長:甲斐 慎一(京都大学医学部附属病院 麻酔科)

[O96-4] 早期リハビリテーションにより良好なADLが得られた重症破傷風の2例

前田 遥1, 北川 喜己1, 肥後 真介2, 山田 真生3, 後藤 縁4 (1.名古屋掖済会病院 救急科, 2.名古屋掖済会病院 リハビリテーション部, 3.済生会横浜市東部病院 救急科, 4.名古屋大学医学部付属病院 麻酔科)

【はじめに】破傷風は、破傷風菌が産生する神経毒素により強直性痙攣を生じる感染症である。重症例では人工呼吸管理、鎮静薬・筋弛緩薬を用いた痙攣のコントロールを要し、長期臥床を余儀なくされるため、救命された場合にも後遺症やADL低下が問題となる。今回、多職種による早期リハビリテーションにより、重症にも関わらず良好な転帰を得た破傷風の2例を経験したため報告する。【症例1】63歳男性。背部痛、開口障害を主訴に前医へ救急搬送された。第5病日に全身性痙攣を生じ、気管挿管・人工呼吸管理が必要となったため、第7病日に当院へ転院となった。頻脈・発汗を認め、刺激で全身性の痙攣が生じるため、ICU入室後RASS-4で管理した。Barthel Indexは0点だった。痙攣は続いたが、循環動態は次第に落ちついたため第14病日に胸郭ストレッチ・関節可動域訓練(以下ROM訓練)から理学療法(以下PT)を開始した。当初ROM訓練では痙攣を誘発することがあったが、医師または看護師が付き添い、全身性の痙攣にはならなかったため継続した。クローヌスは残存したが、第21病日には立位、第23病日には歩行が可能となった。言語療法(以下ST)を第21病日に開始し、翌日には経口摂取が可能となった。第29病日には独歩で屋外生活ができる程となり、退院時Barthel Indexは100点であった。【症例2】81歳女性。開口障害にて救急外来を受診した。経過観察入院中に全身性の痙攣が生じ、第4病日に気管挿管・人工呼吸器管理となった。RASS-4で管理を行い、Barthel Indexは0点だった。痙攣・筋緊張は続いたが、拘縮予防が必要と考え、第9病日からPTを開始し、ROM訓練・良肢位での固定を行った。循環動態が不安定になることもあったが、多職種でのカンファレンスを頻繁に繰り返し、リハビリテーションを継続した。第24病日に端座位保持が可能となり、第38病日から歩行を開始し、退院時には見守り歩行レベルとなった。同時に作業療法、STも行った。退院時のBarthel Indexは40点であった。【考察】破傷風に対するリハビリテーション開始時期に明確な指標はないが、第3期からリハビリテーションを行い良好なADLを得た。リハビリテーションの早期開始・継続のために、多職種での連携が必要と考えた。