第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

補助循環 経験

[O97] 一般演題・口演97
補助循環 経験01

2019年3月2日(土) 15:20 〜 16:10 第12会場 (国立京都国際会館5F Room 510)

座長:畑中 祐也(京都府立医科大学附属病院)

[O97-6] 当院におけるImpella補助患者の体位変換の実際と今後の課題

デヘスース エミリオ瑞樹1, 水野 知香1, 松崎 江里1, 平山 雄也1, 大城 規和2, 亀谷 良介2, 青山 英和2, 大橋 壯樹2 (1.名古屋徳洲会総合病院 看護部 集中治療室, 2.名古屋徳洲会総合病院ハートチーム)


【背景】当院では2017年より左室から脱血し大動脈へ送血するポンプカテーテル型の経皮的左室補助装置(Impella)を導入し20症例を経験した.Impellaは左室内ポンプ位置の些細なずれで,左室壁や乳頭筋と干渉し,駆動不全や溶血を起こしやすい特性がある.特有の合併症である溶血を始め,出血傾向,感染などに対し,慎重な管理が必要とされる.当院では2症例目で位置ずれによる溶血性貧血を経験したため,看護師の不安が生じImpella補助中の体位変換の実施が減少した.長期同一体位により人工呼吸器関連性肺炎(VAP)や褥瘡のリスクが上昇するため,今回過去の症例を通してImpella補助患者への体位変換の現状と今後の課題について検討した.
【目的】ICUにおけるImpella補助患者のVAP・褥瘡誘因となる体位変換の現状と課題を明らかにすること.
【方法】対象:2017年12月~2018年8月にICU入室した,48時間以上Impella補助を必要とした患者.方法:診療録からのデータを収集.収集内容:年齢,Impella使用期間,呼吸器管理期間,看護ケアの内容(体位変換,除圧),VAP・褥瘡の発症数.分析方法:項目毎に単純集計.看護ケアは2時間毎に行う除圧に対して体位変換まで実施した割合を1日ごとに算出した平均.
【結果】研究期間にImpella管理を必要とした20名のうち,48時間未満管理の4名を除外した16名を対象とした.平均年齢は69.9±12.1歳,Impella使用期間は6.1±3.7日,人工呼吸管理を行った患者は15名で全例Impella導入時か,もしくは導入前に挿管管理しており,Impella補助中の挿管管理期間は8.9±5.5日であった.体位変換まで行った記載は1.12回[0-6]/日,VAP8例,褥瘡2例に認めた.
【結論】Impellaは心原性ショックや内科治療抵抗性の急性左心不全が適応となることから,循環動態が不安定な患者が多く,安静保持の指示で体位変換が困難な症例もあった.さらに位置ずれへの不安から体位変換に対する消極性が生じ,除圧のみで体位変換の施行は数回にとどまった.今後看護師だけでなく医師や臨床工学技士,リハビリを含めた多職種でImpella挿入中のポジショニングについて検討し,二次的合併症の予防を行っていく必要がある.