[O98-3] 当院におけるV-A ECMOのシミュレーションについて
【背景】心停止患者に対する救命処置法として経皮的心肺補助装置(V-A ECMO)を用いた心肺蘇生(ECPR)が行われている。導入の迅速さが求められるとともに確実なカニュレーション、蘇生チームのチームワークなどが求められている。当施設では心停止患者に対するV-A ECMOの導入を想定して、胸骨圧迫、除細動を行いつつ、穿刺、カニュレーション、記録などECPRまでのシミュレーションをチーム体制で定期的に実施している。その現状について報告する。【方法】2017年6月から2018年9月までの期間に計8回、心臓血管カテーテル室で透視下に実施した。装置は泉工医科工業製(HAS-CFP)、回路は泉工医科製(SOLAS HPM15H)、人体模擬回路は泉工医科工業独自のシミュレーション回路、胸骨圧迫訓練用にLaerdal製(Resusci Anne)、除細動器はPHILIPS製(HEART START XL)、IABP装置はMaquet製(CS3000)を用いてシミュレーションを行った。メンバー構成は循環器内科医師、臨床研修医、心臓血管カテーテル室担当看護師、臨床工学技士である。【結果】 シミュレーション実施前は導入に向けて各職種の役割分担、記録が曖昧であった。定期的にシミュレーションを実施していくことにより、循環器内科医は3人体制で術者が穿刺、カニュレーションを行い、助手が術者の補助、臨床研修医は胸骨圧迫・除細動、看護師は薬剤注入とそれに関する記録、臨床工学技士は2人体制で1人は補助循環装置のプライミング、2人目はカニュレーション等の記録といった各職種の役割が明確化し、ECPRまで迅速に行えるようになった。【考察】今回のシミュレーションでは救急医との連携はまだ十分には行っていないため、今後は連携を踏まえたシミュレーションが必要だと感じた。また当施設はV-A ECMOの症例数が少ないため、今後もシミュレーションを行っていくことが必要だと考える。