[P102-1] 3度熱中症に悪性症候群を併発したと考えられる一例
【背景】悪性症候群の原因や病態に関しては未だに判明していない部分が多い。【臨床経過】症例は統合失調症に対しアリピプラゾール18 mg内服中の42歳男性。201X年7月、昼間に3時間登山した後、意識障害が出現し、当院救命救急センターに緊急搬送。来院時、意識レベル GCS 6 (E4V1M1)、収縮期血圧68 mmHg、腋窩温 42℃、高CK血症、肝機能障害、腎機能障害などを認め、3度熱中症の診断でICU入院となった。その後急速輸液、体表冷却、気管挿管・人工呼吸管理で治療を開始した。また、アリピプラゾールは入院時より一旦中止とした。第2病日、DICに対しトロンボモジュリンとAT-3製剤の投与を開始した。その後徐々に改善傾向となり、第5病日にはDICから離脱した。また、熱中症に伴うショックや臓器障害、高CK血症も改善傾向を示していたが、38℃台の発熱は持続していた。第6病日、体温が40℃台まで再上昇し、その後一度も解熱せず持続していた。第9病日には、振戦様の不随意運動、筋緊張亢進、血圧上昇、CKの再上昇なども伴うようになり、悪性症候群が疑われた。直ちにダントロレンの点滴静注を開始したが、効果は乏しかった。ドパミンアゴニストの併用を検討していたが、第10病日に突然血圧低下、SpO2低下をきたし、その後心肺停止に到って死亡した。【結論】悪性症候群は抗精神病薬を開始・増量した際に発症することが多いとされているが、本症例のように中止した際にも発症する場合があり、注意を要すると考えられた。