[P102-5] 当院における中心静脈留置型経皮的体温調整システム (サーモガードシステム)の使用経験
【背景】本邦において中心静脈留置型経皮的体温調節装置 (旭化成ゾールメディカル株式会社製サーモガードシステム)は、2014年に急性重症脳障害に伴う発熱患者に対して発熱を軽減するための解熱剤、冷却用ブランケット等の補助として保険収載され、2016年に心停止・心拍再開後の体温管理に適応が拡大された。血管内体温管理については、冷却速度や体温の安定性が従来の冷却法に比べ優れている、院外心停止患者に対し退院時における神経学的転帰の改善や体温管理に費やす看護師の労働時間が有意に削減されるといった報告がある。【目的】今回、当院におけるサーモガードシステムの使用経験について報告する。【対象】心停止・心拍再開後の体温管理、急性重症脳障害に対する解熱を目的とした患者に対して3種類のカテーテルをそれぞれ使用した症例について検討を行った。【症例1】男性、158cm、46.4kg 、誤嚥性低酸素でのCPA蘇生後、デバイスはQuattroを使用した。患者体温35.45℃に対し目標体温34℃まで2時間34分で到達した。デバイスは問題なく挿入できたが、適応身長ではあったものの先端留置位置は上大静脈付近に入っていた。【症例2】男性、170cm、50.4kg 、CPA蘇生後(AKI、高K血症)、デバイスはICYを使用した。すでに患者体温は低く復温目的となったが、患者体温31.74℃に対し目標体温34℃まで3時間50分で到達した。【症例3】男性、181cm、80.7kg、脳挫傷、デバイスはCOOL LINEを使用した。患者体温37.81℃に対し目標体温34.2℃まで6時間41分で到達した。デバイスは問題なく挿入できたが、適応身長ではあったものの先端留置位置は右心房に入っていた。スタッフからは体温の安定性が良い、皮膚トラブルがなくていい、労力が減ったなどの意見がでた。【考察】血管内にデバイスを挿入するにあたってメーカー推奨の患者身長にもかかわらず深く挿入され、合併症の危険に注意が必要であり適応身長について検討する必要がある。また、挿入部におけるバルーンでの血管損傷にも注意が必要であるため、エコーでの確認も必要となる。今後はシバリング発生頻度や体温の安定性による影響などさらなる検討を行っていきたい。【結論】当院におけるサーモガードシステムの使用経験について報告した。