[P13-1] 気管チューブからパイロットバルーンが脱落したが、カフ漏れが無く、抜管の判断に苦慮した1症例
(症例)69歳男性。感染性腹部大動脈瘤術後に腎不全となり血液透析が必要な状態だが、ご本人の同意が得られず、当院に転院となった。その経過観察中に発熱と突然の心肺停止から気管挿管(パーカー気管チューブID7.5mm;日本メディカルネクスト)、心肺蘇生が行われ、蘇生後脳症で集中治療室入室となった。意識レベルの改善とともに呼吸状態も落ち着いていたが、バイトブロックを吐き出すような動作がしばしば見られていた。入室4日目の朝、枕元にパイロットバルーンが脱落しているのが見つかった。持続気道内陽圧呼吸3cmH2O+プレッシャーサポート換気5cmH2Oと言う設定で自発呼吸が認められていたが、気管チューブからのリークが認められず、ジャクソンリース回路で用手的に加圧しても、リークは全く認められなかった。気道粘膜浮腫が強いのか、気管チューブのカフが全く虚脱していないのか、判断に苦慮した。緊急で胸部CTを撮影したが、それでもはっきりとせず、気管内気管チューブ外に細径の気管支ファイバースコープを挿入し観察することになった。気管粘膜の浮腫の程度が軽度であることカフが虚脱していること、ならびにカフを越えて気管分岐部を確認し得たことより、安全に抜管可能と判断し、無事に人工呼吸器から離脱出来た。抜管した気管チューブを詳細に観察すると虚脱したカフは先端に向けて、お椀型に形をなしており、パイロットバルーンは接続部から外れているようであった。詳細はメーカーに調査依頼中である。(結語)パイロットバルーンが脱落しても、カフ漏れを生じない症例は稀であり、その際の対応には注意を要すると考えられた。*本演題は日本集中治療医学会九州地方会に採択さていたが天候不良のため出席できず取り下げた者である。