第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

呼吸 症例

[P13] 一般演題・ポスター13
呼吸 症例01

Fri. Mar 1, 2019 11:00 AM - 11:50 AM ポスター会場13 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:柴田順平(藤田医科大学麻酔・侵襲制御医学講座)

[P13-3] 術中の気管切開術と複数回の気道異物摘出術を必要とした小児の1症例

井上 雅史, 平手 博之, 大矢 真, 藤掛 数馬, 仙頭 佳起, 太田 晴子, 加古 英介, 徐 民恵, 草間 宣好, 祖父江 和哉 (名古屋市立大学大学院 医学研究科 麻酔科学・集中治療医学分野)

【背景】
気道異物は窒息に至る可能性があり、緊急が高い。特に4歳以下で頻度が高く、突然死の原因になる。画像診断技術の発達による早期診断が可能となり、また軟性鏡等の進歩による手術技術は向上している。しかしながら、異物の嵌頓部位や術前の患者の状態から気管切開や開胸術に至る症例もある。さらに、肺炎や無気肺などの合併症のため集中治療を必要とする場合も少なくない。今回、気道異物摘出術中に気管切開を必要とし、さらに複数回の摘出術を必要とした小児例を経験した。
【臨床経過】
1歳7ヶ月の男児。既往歴に特記すべき事項なし。当院受診の2週間前にピーナッツを含んだチョコレートを誤飲。近医を受診、胸部単純X線写真に異常なく帰宅。その後、咳嗽が出現し近医を再受診。胸部単純X線写真で左肺過膨張、縦隔右方偏位、縦隔気腫、頚部皮下気腫あり。胸部CT検査で左気管支に軟部陰影があり、当院を紹介受診。当院到着時、努力呼吸、呼吸数30/分、湿性咳嗽あり、呼吸音は左で減弱。全身麻酔下の緊急異物摘出術を行った。経口気管挿管、人工呼吸管理下に軟性鏡での摘出を開始したが、操作困難のため、硬性気管支鏡による操作に変更。左主気管支内に異物を発見したが、分泌物が多量、硬性気管支鏡の側孔より換気を行っていたが、徐々に酸素化が悪化したため、気道閉塞の回避と十分な人工呼吸の必要性から気管切開を施行。気管切開孔より軟性鏡を挿入、鉗子と吸引による摘出を行った。術後はICUへ収容、入室時のP/F比は160 (PEEP=10cmH2O)。胸部CT検査で両側無気肺および網状影があり、肺炎の合併を考慮して抗菌薬を開始。高PEEPの人工呼吸器管理および体位ドレナージで酸素化は徐々に改善したが、気管切開カニューラより軟性鏡で観察したところ、左下葉気管支に異物残存を確認。第6病日に2回目の摘出術を行い、完全に摘出できなかったが、呼吸機能は十分に改善していたため、同日に人工呼吸器離脱。第11病日に3回目の摘出術を行い、完全に除去した。摘出された異物はピーナッツであった。第12病日にICU退室。第18病日に気管切開カニューレを抜去したが、自然閉鎖せず、気管孔閉鎖術を第30病日に行い、第31病日に退院。
【結論】
異物摘出術中に気管切開を行い、ICUで継続的に気道管理を行うことで、良好な転機を得た小児症例を経験した。小児のピーナッツ誤飲は、重篤な気道障害を引き起こすため、場合によっては気管切開も考慮すべきである。