第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

呼吸 症例

[P15] 一般演題・ポスター15
呼吸 症例03

Fri. Mar 1, 2019 11:00 AM - 12:00 PM ポスター会場15 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:菅原 陽(横浜市立大学附属病院集中治療部)

[P15-4] 詳細な気道評価が気管挿管に有用であったKlippel-Feil症候群の1例

谷口 寛子, 津田 勝哉, 西尾 由美子, 大下 健輔, 平木 照之 (久留米大学 医学部 麻酔学講座)

【はじめに】Klippel-Feil症候群(KFS)は短頸、頸部の可動域制限、後頭部毛髪線の低位を3徴とした症候群であり、全身麻酔導入の際に換気・挿管困難に陥る可能性がある。今回、KFS患者に対して喉頭内視鏡検査と仮想気管支鏡画像で気道評価をしたことにより気管挿管可能であった症例を経験した。【症例】79歳、男性。頸椎症性脊髄症の診断で頸椎前方固定術を予定した。身長153 cm、体重57 kg。短頸、胸椎側弯、母指低形成など骨格異常を認めたが、意識下での開口障害や頸部後屈困難は認めなかった。レミフェンタニル、フェンタニル、プロポフォール、ロクロニウムによる麻酔導入を行った。マスク換気は可能であったが、開口一横指で喉頭展開が困難であり、声門上器具留置下に気管支ファイバースコープで経口挿管を試みた。しかし声門を同定できず挿管には至らなかったため、手術は延期した。再手術に際し耳鼻科で経鼻喉頭内視鏡を施行。咽頭腔の狭小化を認めたが、意識下で声門を確認することができた。発声状態での頸部CTを撮影したところ、癒合した第3-4頸椎の骨棘により舌骨、舌根部レベルで気道は圧排され、前方へ屈曲していた。CTより仮想気管支鏡画像を構築し、気道の走行、声門の位置を把握した。再手術時の麻酔導入は経鼻意識下挿管を予定し、仮想気管支鏡画像と照らし合わせながら気管挿管することができた。【考察】気道解剖の異常による気管挿管困難が予想される場合、術前に喉頭内視鏡や仮想気管支鏡画像で気道狭窄部位や解剖学的異常を詳細に把握することは、気管挿管に有用である。
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