[P17-1] アミオダロンとデクスメデトミジンの併用で心停止を生じたと推測した1症例:第2報
アミオダロン(AMD)は陰性変時作用のある抗不整脈薬で、頻脈性不整脈の治療に主として用いられる。デクスメデトミジン(DEX)も交感神経抑制型の鎮静薬であるが、両者の併用から高度徐脈・心停止を来した症例を経験した。【症例】81歳の男性、160cm、59kg。大動脈弁狭窄症に対して弁置換術を施行した。術後はICUで治療を継続したが、100/minを超える頻脈が継続し、AMD600mg/dayの持続投与を開始した。術後第1病日に人工呼吸を離脱して抜管したが、依然として頻脈傾向が続き、ランジオロールの持続投与を2.6mcg/kg/minで開始した。日中の心拍数は100/min以下に低下した。夜間に、就眠を促す目的でDEXを初期投与を省略して0.56mcg/kg/hの速度で持続投与を開始した。約2時間後に就眠を得たが、明らかな徐脈傾向を認めず、経過を観察していた所、投与開始から約6時間後に高度徐脈・心停止を生じた。直ちにアドレナリン0.5mgを投与し、胸骨圧迫を施行すると、速やかに心拍再開を認めた。DEX投与を中止して観察したが、異常を認めず、以後、良好に経過した。【考察】我々は以前にも両薬物の併用から心停止を来した症例を報告しているが(Ohmori et al. J Intensive Care 2015; 3: 43)、今回はランジオロールが加わり、より長時間の心停止に至った。夜間のイベントで直ちに蘇生術を開始したが、ペーシングリードが残されており、緊急ペーシングも考慮すべきであったと反省した。