[P18-6] 当院における心損傷修復術の周術期管理の検討
【背景】心損傷に対する心筋縫合止血術は症例数が限られており、周術期に出血と心タンポナーデによる不安定な循環動態を呈し、まれに体外循環(以下CPB)使用となる場合がある。【目的】当院における心損傷修復術の周術期管理、CPB使用状況と転帰について検討した。【方法】対象期間は2005年5月から2018年4月までの13年間、解析方法は診療記録、手術記録、麻酔記録より後向きに解析を行った。院内倫理委員会の承認を得た。【結果】対象症例は11例、平均年齢65.2歳、男性8例女性3例、原因は医原性3例(心筋生検後1例、アブレーション後1例、リード穿孔1例)、急性心筋梗塞合併症2例、外傷6例(うち受傷機転で交通事故5例、転落1例)であった。術前ショック状態は10例、うち術前PCPS開始後1例、来院時心停止2例、入室後心停止2例であった。術前心嚢穿刺は6例であったが全例循環安定せず修復術となった。術中CPB使用は2例、うち1例は術前からのPCPS継続であった。CPB非使用は9例、うち2例は術野にCPB回路をプライミングした状態まで準備したが使用せず修復術施行となった。のべ心損傷部位は右心耳2、右房壁3、右室2、上大静脈1、下大静脈2、冠状静脈洞1、冠静脈1、左室4、肺静脈から左房1例であり、輸血量は平均3210mLであった。転帰では生存退院は8例、ICU死亡3例(低酸素脳症2、出血傾向1)であり全例CPB非使用例であった。【結語】心損傷修復術の周術期管理において、CPB使用時の抗凝固薬使用による出血傾向増大のリスク、非使用時の循環維持困難時の低酸素脳症のリスクがあり、症例選択が重要となる。