第46回日本集中治療医学会学術集会

講演情報

一般演題(ポスター発表)

中枢神経

[P2] 一般演題・ポスター2
中枢神経01

2019年3月1日(金) 11:00 〜 11:40 ポスター会場2 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:松岡 宏晃(群馬大学医学部附属病院集中治療部)

[P2-5] 自律神経障害のため心停止するも、救命し得た重症Guillain-Barre症候群(GBS)の一例

山岸 惇史, 水野 哲志, 蜂谷 聡明, 南 啓介, 田中 良男, 太田 圭亮, 村上 健一, 明星 康裕 (石川県立中央病院 救急科)

【背景】GBSでは半数以上の症例で自律神経障害を合併する事が知られているが、人工呼吸器管理を要するような重症例でも、致死的不整脈により心停止まで至る症例は稀とされている。今回、心停止するも救命できた重症GBSの一例を報告する。【臨床経過】症例は77歳、女性。高血圧、認知症以外に既往はない。2018年9月10日頃から多尿、全身倦怠感および足底のしびれを自覚し、急激に歩行困難となったため、9月12日にA病院を受診し、高Ca・低K血症を認めたため、歩行困難の原因は電解質異常と判断され、電解質補正および血液透析が開始された。9月15日に肺炎およびCO2ナルコーシスを認め、9月18日に一過性にショックバイタルとなったため、精査加療目的に当院へ転院となった。当院受診時、バイタルサインは安定していたが、下肢有意の四肢筋力低下、四肢深部腱反射の消失、位置覚・振動覚の低下を認め、血液検査では補正Ca 10.5mg/dL、K 2.8mEq/L、pCO2 41.6mmHgであった。CO2ナルコーシスは消失していたが、低K血症による全身脱力が出現した可能性を考え、同日集中治療室に入室とした。入室後、CO2ナルコーシスを認めたため、NPPVを装着した。入室後、循環作動薬を使用していないにも関わらず、収縮期血圧80-250mmHg、HR 50-100bpmと乱高下を繰り返した。第2病日に筋力低下・腱反射消失の精査目的に、神経内科対診を行い、神経伝導検査で運動・感覚共に神経伝導速度が著明に低下しており、腰椎穿刺で蛋白細胞解離を認めた事などから、軸索型GBSと診断し、同日より免疫グロブリン静注療法(IVIg)を開始した。気管挿管/人工呼吸器科管理を開始した直後に、一時的に心停止を認めたため、心肺蘇生を行い数分で心拍再開した。その後、昇圧剤使用で血圧は安定したため、高齢なため過度な侵襲は避けるべきと判断し、補助循環装置は使用しなかった。状態が安定してきたため、長期管理を見越して第5病日に気管切開を行った。第8病日に高Ca血症の原因は副甲状腺機能亢進症であることが判明したため、現在、治療方針を検討中である。【結論】心停止に至った重症GBSの一例を経験した。自律神経障害により心停止に至るようなGBSであっても、心拍再開すれば原疾患の治療が奏功することで自律神経障害は改善する事が期待できるため、急性期の全身管理が重要である。