第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

中枢神経

[P22] 一般演題・ポスター22
中枢神経03

Fri. Mar 1, 2019 2:00 PM - 2:50 PM ポスター会場2 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:山村 仁(大阪府立中河内救命救急センター)

[P22-1] 脳外科手術後患者における血清ナトリウム値と予後の検討

池田 佳恵, 戸田 雄一郎, 羽間 恵太, 中塚 秀輝 (川崎医科大学附属病院 麻酔・集中治療科)

【背景】低ナトリウム血症は脳外科患者の代表的な電解質異常である。くも膜下出血の50%、外傷性脳損傷の15-20%、頭蓋内出血および脳腫瘍の10-20%で認める。低ナトリウム血症は死亡率と関連し予後不良因子であるが、その一方で、高ナトリウム血症も死亡率に影響するといわれており、頭蓋内病変を有する患者の予後に関しても高ナトリウム血症に影響されるという報告が多数ある。
【目的】今回、当院における脳外科手術後患者の血清ナトリウム値と予後との関連について検討した。
【方法】後ろ向き観察研究で、2016年1月1日~12月31日の1年間に、当院で開頭もしくは血行再建の脳外科手術を受けた18歳以上の患者を対象とした。電子麻酔記録および電子診療録よりデータ抽出を行い、対象患者を予後良好群、予後不良群に振り分けた(予後不良群:退院時における死亡、JCS100以上、麻痺)。患者背景、術前・術中・術後血清ナトリウム値、麻酔時間、術中輸液量、HES・アルブミン製剤・輸血製剤の使用有無、出血量についてt検定を用いて評価した。
【結果】該当手術件数は84件で、予後不良群が26例(31%)であった。予後不良群は、死亡5例、意識障害が8例、麻痺が13例であった。両群の年齢、性別、BMI、術前の腎機能に差はなかった。予後不良群ではPSが高く(P=0.0005)、緊急手術が多く[16例(62%) vs 7例(12%), P<0.0001)、術前から挿管されている患者の割合が高かった[9例(35%) vs 6例(10%), P=0.01]。また、予後不良群では麻酔時間が短かった[5.8 時間 vs 7.4 時間, P=0.04]。有意差はないものの、予後不良群で輸液量、HES・アルブミン製剤、輸血製剤の使用が多い傾向にあった。血清ナトリウム値は、術前・術中に差はなかったが、術後1日目において、予後不良群が予後良好群に比べ高値であった[141.9 mmol/L (95% CI: 139.6-144.1) vs 139.1 mmol/L (95% CI: 137.6-140.6), P=0.04]。
【結論】脳外科手術で、後ろ向きに血清ナトリウム値に関して検討を行った。予後不良患者では血清ナトリウム値が高かった。