第46回日本集中治療医学会学術集会

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一般演題(ポスター発表)

中枢神経

[P23] 一般演題・ポスター23
中枢神経04

Fri. Mar 1, 2019 2:00 PM - 2:50 PM ポスター会場3 (国立京都国際会館1F イベントホール)

座長:中尾 慎一(近畿大学医学部麻酔科学教室)

[P23-6] 先天性の髄液漏に対し閉鎖術施行後に急性水頭症を来した一例

長島 秀明 (慶應義塾大学病院 脳神経外科)

症例は11歳男児。髄膜炎を過去4回繰り返し発症していた。髄膜炎発症時に副鼻腔炎や中耳炎の所見は認めなかった。精査を行った結果、左破裂孔周辺からの髄液漏が疑われた。頭部CTでは左錐体骨先端部に骨欠損を認め、meningoencephaloceleが疑われたため、開頭手術での髄液漏閉鎖を施行した。術中所見では術前CT所見と同じく左錐体骨に一部骨欠損を認め、meningoencephaloceleを形成しており、脂肪と筋膜で瘻孔を閉鎖して手術を終了した。術後のCTでは明らかな異常所見は認めなかった。患児は術後2日目から頭痛を訴え、術後3日目に左外転神経麻痺が出現したため、術後の頭蓋内圧亢進を疑い、浸透圧利尿薬を投与開始するも症状改善せず。発熱は認めなかったが、髄膜炎を除外する目的で髄液検査を施行したところ、髄液圧の異常高値(50cmH2O)を認めた。髄液所見からは髄膜炎は否定的であり、緊急に腰椎腹腔シャント術を施行した。術後、頭痛は軽快し、現在にいたるまで髄膜炎の再発は起こっていない。過去、meningoencephaloceleによる髄液漏ならびに閉鎖術の報告は散見されるが、閉鎖術後に急性水頭症を来すことは極めて稀である。今回の報告では、患児の病歴や術後経過から、過去の文献を踏まえて、急性水頭症に至った経緯を考察する。