[P26-3] 健常人に発症した電撃性紫斑病を伴うBrevundimonas diminuta感染症の一例
【背景】感染症は時に劇症型敗血症として、DICをはじめ多臓器不全が急激に進行する劇症型の経過を辿る。Brevundimonas diminutaは環境に遍在するブドウ糖非発酵性グラム陰性桿菌であり、日和見感染症として症例報告されることがある。しかし、弱毒菌であり死亡例や健常者への感染報告はまれである。今回我々は、健常な成人男性におけるBrevundimonas diminuta感染症が劇症型敗血症を起こしたと考えられる症例を経験したので報告する。【臨床経過】生来健康な30歳代の男性。数日前に子供が39℃の発熱があり、その後に本人も発熱、関節痛、上腹部痛で前医へ救急搬送された。前医で収縮期血圧60mmHg、頻呼吸と意識混濁がありqSOFA 3点であり敗血症ショックが疑われ当院の救命救急センターへ搬送となった。搬入時より四肢体幹に紫斑をみとめDICを伴っていた(急性期DICスコア 8点)。SOFAスコア 16点、呼吸不全が進行したため人工呼吸管理として、ステロイド、γグロブリン投与を行った。高エンドトキシン血症をみとめたためエンドトキシン吸着を行った。しかし、紫斑が広がり循環維持できず来院24時間後死亡した。咽頭粘液よりA群溶連菌の抗原迅速検査が陽性であったが、連鎖球菌は同定されなかった。病理剖検では皮膚を含め消化管、左室心筋、気管粘膜などに点状出血を認め、腎、肺、肝に微小血栓を散見したが菌体はみとめられず明らかな感染源を同定できなかった。前医での血液培養からBrevundimonas diminutaが同定された。 【結論】健常人に発症したBrevundimonas diminutaによる劇症型敗血症を経験した。進行が急速で有り救命困難であった。Brevundimonas diminutaは環境に存在する弱毒菌であるが、健常者に感染し劇症型敗血症を発症することがあることが解った。